【受動輸送と能動輸送の違い・イオンチャネル・イオンポンプ】わかりやすく説明します!(初心者向け)

覚え方?そんなのは必要ありません。理解さえすれば簡単です♪


🔶受動輸送・能動輸送

能動輸送





「受動」「能動」の意味


まず、受動・能動の意味を理解しましょう!
受動的と能動的

受動的は簡単に言うと「受け身」。遊びに行く時は誰かに誘われないと行かなかったり、恋愛だったら告白されるまで待っていたり、イベントは無料じゃないと行かなかったり…。いつも流されるままに生活している人は、「受動的な人」です。

能動的は「積極的」、「自発的」のような意味があります。受動的の反対で、自ら進んで行動を起こすような、活発さがあることを言います。


「受動」「能動」は他の使われ方もします。

例えば他人のタバコの煙を吸ってしまうことを「受動喫煙」と言いますよね。

なので、タバコ自体を吸うことは「能動喫煙」と言います。

受動喫煙と能動喫煙


そんなに難しくないでしょう?

でもみんな、どっちがどっちなのかわからなくなってしまうのです。

その理由はただ一つ!「能動的」という言葉に「能」が使われているから!!!これが混乱の原因ですよね。

「発動的」とかの方がわかりやすいような気がしません?(勝手な持論)



受動輸送と能動輸送

受動輸送


受動輸送(空いている方へ移動)

電車に乗ったら、空いている車両のほうへ人は流れます。ある程度時間が経ったら、車両の中はだいたい同じくらいの密度になります。

これと同じように、体の中でも物質は密度が濃い方から薄いほうへ移動します。

混んでいては窮屈なので、受動的に、楽して物質が移動します。それが受動輸送です。



能動輸送


能動輸送(混んでいても入る)

他の車両はガラガラで余裕で座れるのに、混んでいる車両にあえて乗り込むこともあります。

これが能動輸送です。

能動輸送では、無理して密度の高い場所に入り込まなければならないので、エネルギー(ATP)を使います。



イオンチャネル・アクアポリン・イオンポンプ・トランスポーター


イオンチャネル

受動輸送が行われる際、イオンだけを通すタンパク質をイオンチャネルと言います。

イオンチャネル

チャネルには、「ルート、通路」という意味があります。

このように、専用の出口から出る=特定の物質のみを通す性質を「選択的透過性」といいます。


アクアポリン


アクアポリン

アクアポリンは、水の分子だけを通すタンパク質なので「水チャネル」とも呼ばれます。

水はもともとリン脂質を通過する性質を持っていますが、少量しか通れません。

水をたくさん通すためにはアクアポリンが必要になります。


イオンポンプ


イオンポンプ

能動輸送が行われる際にイオンを送るタンパク質をイオンポンプと言います。

頑張って密度の高い方に入っていかなければならないので、ポンプのような仕組みが必要なのです。


トランスポーター(輸送隊:担体)


トランスポーター

専用入り口が必要なのはイオンだけではありません。

例えば、細胞膜はリン脂質の二重層からできているので、脂溶性の物質は通すことができるのですが、分子量の大きな水溶性物質(アミノ酸やグルコースなど)は通すことができません。

そのため水溶性物質が通るための専用のタンパク質が必要となります。

こういった専用の入り口のことをトランスポーター(輸送体または担体)と呼びます。

チャネルとの違いは、タンパク質本体の形が変わるか変わらないかです。

チャネルの場合はイオンを通す時、本体の形は変わりません。

トランスポーターの場合は、水溶性物質を通す時に本体の形が変化します。



単純拡散と促進拡散


普通に濃度の高いところから低いところへ流れることを単純拡散と言います。

受動輸送(空いている方へ移動)



特定の物質が決まったタンパク質を通って輸送されることを促進拡散と言います。

イオンチャネル





勾配とは?

細胞の物質輸送の勉強をしていると「濃度勾配」という単語が出てきません?

これは、「のうどこうばい」とよみます。

濃度の濃さの差(度合い)ことです。


勾配という言葉の多くは坂道などの斜面を表すときに使われます。

なので例えばこのような道路標識があれば、

勾配

「勾配10%」なのでつまり、100m進んだら、10m上ることを教えてくれています。

勾配とは
キリンの全長が5mくらいなのでキリン2匹分。結構キツイ坂です。