【ゾンビ化】免疫の仕組みをわかりやすく説明!自然免疫/獲得免疫/細胞性免疫/体液性免疫
免疫の説明って、なぜあんなにわかりにくく書かれるんでしょうね?
ゾンビウイルスで例えると簡単なのに!
この記事は「高等学校/生物基礎」の教科書に沿って作成しています。
免疫は、大きく分けて「自然免疫」と「獲得免疫(適応免疫)」の2種類に分類されます。
検索ではよく「自然免疫 獲得免疫 違い わかりやすく」で検索されているようなので、簡単な図にしてみました😄
こうやって見たら簡単ですよね。
自然免疫は、元々持っている免疫、
獲得免疫(適応免疫)は、ワクチンなどにより後から獲得する免疫です。
「適応免疫」という別名があるのは、「その病原体に適応する免疫」という意味から作られた言葉だと思われます。
それでは実際にどのようなシステムなのか見ていきましょう!
体内に病原体が入って来ないようにするために、体表面では「皮膚」がバリアとなり守ってくれています。
・粘膜
皮膚がない部分は、粘膜がバリアとして働くてくれています。喉や鼻に異物が入ってきたらクシャミや咳などで排出するようになっています。
ゴミが目に入った時に出る涙も、異物を排出してくれる大事な役割があります。
細菌は基本的に酸に負けます。
だ液、粘液、尿は弱酸性、胃液は強酸性なので、これらの酸性物質に触れた弱い細菌は死にます。
・リゾチーム
リゾチームは、細菌の細胞壁を分解する酵素です。だ液や粘液に含まれます。
・ディフェンシン
ディフェンシンは、細菌に強く結合して細胞膜を破壊するタンパク質です。これもだ液や粘液に含まれます。
サッカーやバスケットの、ゴールを守るポジションを「ディフェンス」と言いますよね。それと同じ「ディフェン」です。細菌の細胞膜を破壊して身を守ってくれます。
これらも、生まれながらにして備わっている防御機構なので、れっきとした「自然免疫」です。
病原体にとって第1関門となるので、「第1の防御機構」とも呼ばれます。
・好中球
・マクロファージ
これらの白血球は異物を細胞内に取り込んで処理します。
このような働きを「食作用」といい、食作用がある細胞を「食細胞」と言います。
こういった、体に入ってきたものを食べて駆除する過程は、病原体にとって第2関門となるので「第2の防御機構」と呼ばれます。
NK細胞には食作用がありません。その代わりに直接攻撃をします。
攻撃する相手は、病原体に感染した細胞です。
樹状細胞は食作用もなく攻撃もしませんが、適応免疫を発動させる役割があります。
適応免疫を発動させるために、抗原を断片化し、リンパ節に移動し、そこで提示をします。これを「抗原提示」と呼びます。
マクロファージや樹状細胞は、免疫に関わる他の細胞に働きかけたり、発熱や炎症作用などを起こすきっかけを作ったりします。
なので例えば、蚊に刺されたときにその部分が赤く腫れあがって炎症が起きている状態は「第2の防御機構で白血球が一生懸命働いている」ということになります。
炎症が起きて患部の温度が上がることで、細菌の増殖が抑えられると同時に、免疫に関わる細胞の活性が高まります。
第1の防御機構と第2の防御機構をすり抜けて入ってきた病原体に対して、T細胞、B細胞が反応し、働きます。
このような、病原体にとってラスボス的存在の免疫は、「第3の防御機構」と呼ばれます。
獲得免疫は、「細胞性免疫」と「体液性免疫」に分類することが出来ます。
この2つの違いは、病原体を攻撃する物質が「細胞自身」か「抗体」かです。
ちなみにヘルパーT細胞👓は細胞性免疫と体液性免疫の働きを司ります。
ヘルパーT細胞👓は、獲得免疫の司令塔にもなりますが、マクロファージの食作用を増強させる力も持っています。
②病原体とT細胞が結合することにより、T細胞が活性化します。
③するとヘルパーT細胞やキラーT細胞に分化し増殖します。
④増殖したヘルパーT細胞は周りに仕事をするように指令を出し、キラーT細胞は、感染した細胞の場所まで移動し、標的を見つけます。
⑤キラーT細胞は、病原体と結合し攻撃、細胞ごと病原体を排除します。
⑥増殖したヘルパーT細胞、キラーT細胞の一部は、それぞれ記憶細胞となって残り、また同じ病原体が入った来た時に活性化して攻撃します。
・NK細胞(ナチュラルキラー細胞)👧🏻は自然免疫です。元々備わっています。
・キラーT細胞👮は獲得免疫です。入って来た病原体に対応した免疫を獲得後、記憶細胞となって残り、次に同じ病原体が入ってきた時に素早く退治します。
両者は仕事内容が似ているので、「はたらく細胞」の作中でも度々喧嘩をしていますw
抗体(こうたい)とは、抗原を捕まえて排除する、特殊部隊のようなものです。
抗原と抗体が反応することを「抗原抗体反応」と言います。
抗原抗体反応が起こると、病原体の感染力や勢力が落ちます。
B細胞が直接病原体に攻撃することはないので、「細胞性免疫」と区別されています。
ただし病原体に結合はします。B細胞が病原体と結合することで抗体が分泌されます。
1種類の免疫グロブリンが結合できるのは、1種類の抗原のみです。
また、1つのB細胞は、1種類の免疫グロブリンを作ることしかできません。
病原体はたくさんの種類があり、免疫グロブリンもたくさんの種類をつくらなければならないので、一概に「B細胞」と言っても、多くの種類が存在することになります。
②ヘルパーT細胞がB細胞を活性化させます。
③活性化したB細胞は増殖し、抗体をたくさん分泌する「形質細胞」に分化します。
④形質細胞が分泌した抗体は感染部へ運ばれて抗原抗体反応が起こります。
・B細胞が「骨髄(Bone marrow)」で分化熟成するからです。
病原菌を排除する血球は白血球ですが、その中でもNK細胞、T細胞、B細胞は、リンパ球でもあります。
エイズ(AIDS)は「後天性免疫不全症候群」と言い、名前の通り後天的に免疫の力働かなくなってしまう疾患です。
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)がヘルパーT細胞に感染し、破壊することにより、獲得免疫が機能しなくなります。
獲得免疫の機能が落ちると、弱い病原体にも簡単に侵されてしまうようになり、様々な病気を併発することになります。
このように、初見の病原体侵入後、一定の時間がかかった後に反応が出ることを「一次応答(一次免疫応答)」と呼びます。
一方で、過去に体に入ってきたことがある病原体によって作られた免疫記憶が残っていれば、速い速度で免疫反応が起こります。また、抗体を産生する量や期間も長く、一次応答よりも強い免疫応答となります。
このような、再会する病原体への強い免疫応答を「二次応答(二次免疫応答)」と呼びます。
このような仕組みを免疫記憶と呼びます。
力を弱くさせた(または死滅させた)病原体をのことをワクチンと言います。
ワクチンを体に注射することにより、抗体を作らせる(一次応答を引き起こす)ことを予防接種と言います。
一度接種した病原体が体内に侵入すると二次応答が起こり病原体をシャットアウトすることができます。
「BCGワクチン」「ツベルクリン反応」という言葉を聞いたことがありますか?
BCGワクチンは、いわゆる「はんこ注射」「スタンプ注射」と呼ばれるもので、あなたの腕にもその跡が残っていると思います。(残らない人もいます)
これは結核にかからないための予防接種で、生後11か月までに行われることが推奨されています。(2019年現在)
BCGワクチンを打つと、結核菌に対する免疫が作られます。
ツベルクリン反応は、実際に結核にかかったことがあるかどうかの検査です。
ツベルクリンを注射すると、結核菌の抗体がある人は、注射した部分が赤く腫れあがります。作られた記憶細胞が反応し炎症を起こすためです。
昔は、先にツベルクリン反応を行って反応が出ない人だけにBCGが接種されていました。
しかし2005年の結核予防法の改正後からはツベルクリン反応を省略し、結核にかかったことのないと思われる赤ちゃんの内にBCGを打つことになりました。
「免疫が付いているはずなのになぜ?」と思う人も多いかもしれません。
その答えは、インフルエンザウイルスはたくさんの種類があるからです。
インフルエンザウイルスは、大きくA型、B型、C型に分けられますが、それらは更に細かく分類されていきます。
例えばA型であれば100種類以上に及びます。また、少しずつ変異しており、どんどん種類が増えています。
抗体を体内に注入して感染症を治すこともできます。
抗体を入れた血清を、「抗血清」と言います。
血清とは、血液を遠心分離して血球とフィブリンなどの繊維を取り除いたものことを言います。
②動物の体内に抗体が出来たら血液を回収して遠心分離し、抗血清を作る。
このような治療法を血清療法と呼びます。
最近は抗血清から更に免疫グロブリンだけを抽出した「免疫グロブリン製剤」が使われます。
ただしこの場合は自分のB細胞を使って抗体を作っているわけではないので免疫記憶は生じません。
アレルギーは、今や持ってない人の方が少ないくらいですよね。筆者もシラカバ花粉とネコのアレルギーがあります。このような、アレルギーを引き起こすものをアレルゲンと呼びます。
花粉症も花粉のアレルギー症状です。
強いアレルギーを持っている人は、アレルギー反応によりアナフィラキシーショックというショック症状が出て死に至る場合もあるので、注意が必要です。
しかし、何らかのエラーにより免疫が自分の健康な細胞を攻撃してしまうことがあります。このような疾患を「自己免疫疾患」と呼びます。
自己免疫疾患は、たくさんの種類があります。例えば、自分自身の関節の組織を抗原と認識して攻撃する疾患を「関節リウマチ」と言います。
しかし他人の造血幹細胞を移植するとかなりの確率で「非自己」という認識がされてしまい、免疫によって細胞が攻撃されるとになってしまいます。
「この造血幹細胞は自分のもの」と認識される造血幹細胞に巡り合うのは非常にまれであるため、多くのドナー登録が求められています。
2019年2月に、競泳の池江璃花子選手が白血病と診断されたことを公表してからドナー登録が急増しています。
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ゾンビを触っただけではゾンビ化しませんが、噛まれて皮膚を破られ体内にゾンビウイルスが入ると普通の人はゾンビ化してしまいます。
皮膚というバリアが壊されたことによるためです。
またゾンビウイルスは空気中にまき散らされることもあります。口や鼻には厚いバリアがないため、ウイルスは簡単に侵入してしまいます。
そうなると、ゾンビウイルスに対する免疫を持たない一般市民はすぐに感染してゾンビになってしまいます。
・噛まれてもゾンビ化しない人
ゾンビゲームの主人公クラスとなると、ゾンビに噛まれてもゾンビにならない人が出てきます。
その人はおそらく生まれながらにゾンビウイルスへの自然免疫が備わっているのだと思われます。
「感染しない」または「感染していてもゾンビ化しない」のどちらかになります。
・ゾンビ化しかけたが薬で治る人
ゾンビ化しかけた人にワクチンを打っても遅いので、「抗血清」または「免疫グロブリン製剤」を投与することになります。
自分の体以外の場所で抗体を作ってから注射するため、免疫記憶が残りません。そのためゾンビ化しかけてから治った人でも、ワクチンなどで免疫を作る必要があります。
・薬の効果でゾンビ化しない人
ワクチンを打つことによりゾンビ化しない人物もいます。
無毒化(または弱体化)したゾンビウイルスを接種することにより、抗体を作らせ、ゾンビウイルスに対する免疫作ります。
・「抗体を持っている」と言われる人
ここで言われる「抗体」が本当に獲得免疫によりB細胞から分泌された抗体なのかどうかは怪しいところです。
普通に生活していても「ストレスへの抗体ができた」とか言いますから、科学的ではなく、比喩的に「抗体」という言葉が使われているのかもしれません。
もしも本当に「B細胞から分泌される抗体」があるとしたら、過去に軽いゾンビウイルスに感染し、その後完治したか、もしくは親が感染した後にできた抗体を引き継いだか、知らない間にワクチンを打たれたか、になります。
免疫の範囲は難しいですが、まずゾンビにあてはめて理解をし、その後T細胞、B細胞など細かいところを見直していくと頭に入りやすくなると思いますよ😊
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➜ サイトのもくじ【体の構造】
ゾンビウイルスで例えると簡単なのに!
この記事は「高等学校/生物基礎」の教科書に沿って作成しています。
🔶自然免疫・獲得免疫
免疫とは?
病原体が体内へ入ってくるのを防いだり、入って来た病原体を排除する仕組みを免疫と言います。免疫は、大きく分けて「自然免疫」と「獲得免疫(適応免疫)」の2種類に分類されます。
検索ではよく「自然免疫 獲得免疫 違い わかりやすく」で検索されているようなので、簡単な図にしてみました😄
自然免疫と獲得免疫の違い
こうやって見たら簡単ですよね。
自然免疫は、元々持っている免疫、
獲得免疫(適応免疫)は、ワクチンなどにより後から獲得する免疫です。
「適応免疫」という別名があるのは、「その病原体に適応する免疫」という意味から作られた言葉だと思われます。
それでは実際にどのようなシステムなのか見ていきましょう!
自然免疫
物理的な防御
・皮膚体内に病原体が入って来ないようにするために、体表面では「皮膚」がバリアとなり守ってくれています。
・粘膜
皮膚がない部分は、粘膜がバリアとして働くてくれています。喉や鼻に異物が入ってきたらクシャミや咳などで排出するようになっています。
ゴミが目に入った時に出る涙も、異物を排出してくれる大事な役割があります。
化学的な防御
・酸細菌は基本的に酸に負けます。
だ液、粘液、尿は弱酸性、胃液は強酸性なので、これらの酸性物質に触れた弱い細菌は死にます。
・リゾチーム
リゾチームは、細菌の細胞壁を分解する酵素です。だ液や粘液に含まれます。
・ディフェンシン
ディフェンシンは、細菌に強く結合して細胞膜を破壊するタンパク質です。これもだ液や粘液に含まれます。
サッカーやバスケットの、ゴールを守るポジションを「ディフェンス」と言いますよね。それと同じ「ディフェン」です。細菌の細胞膜を破壊して身を守ってくれます。
「ケガをしたらツバをつければ治る」って言われるのは、酸、リゾチーム、ディフェンシンような成分が含まれているからなんだね。教わらなくても知っているタマってすごいや。
これらも、生まれながらにして備わっている防御機構なので、れっきとした「自然免疫」です。
病原体にとって第1関門となるので、「第1の防御機構」とも呼ばれます。
白血球による食作用
名前をタップすると「はたらく細胞」の公式キャラクター紹介ページへ飛びます。・好中球
「白血球さん」と呼ばれているが、厳密には「好中球」だ。
・マクロファージ
食べてお掃除よ♪
これらの白血球は異物を細胞内に取り込んで処理します。
このような働きを「食作用」といい、食作用がある細胞を「食細胞」と言います。
こういった、体に入ってきたものを食べて駆除する過程は、病原体にとって第2関門となるので「第2の防御機構」と呼ばれます。
白血球(NK細胞)による攻撃
・NK細胞(ナチュラルキラー細胞)👧🏻NK細胞には食作用がありません。その代わりに直接攻撃をします。
攻撃する相手は、病原体に感染した細胞です。
白血球(樹状細胞)が獲得免疫を発動させる
・樹状細胞🌳樹状細胞は食作用もなく攻撃もしませんが、適応免疫を発動させる役割があります。
適応免疫を発動させるために、抗原を断片化し、リンパ節に移動し、そこで提示をします。これを「抗原提示」と呼びます。
◆「抗原」とは?
抗原(こうげん)とは、リンパ球によって「非自己」と認識されたもののことを言います。主に細菌やウイルス、毒物などの病原体のことです。マクロファージや樹状細胞は、免疫に関わる他の細胞に働きかけたり、発熱や炎症作用などを起こすきっかけを作ったりします。
なので例えば、蚊に刺されたときにその部分が赤く腫れあがって炎症が起きている状態は「第2の防御機構で白血球が一生懸命働いている」ということになります。
炎症が起きて患部の温度が上がることで、細菌の増殖が抑えられると同時に、免疫に関わる細胞の活性が高まります。
獲得免疫
獲得免疫はワクチン接種で得るだけではなく自分で作り出すこともできます。第1の防御機構と第2の防御機構をすり抜けて入ってきた病原体に対して、T細胞、B細胞が反応し、働きます。
このような、病原体にとってラスボス的存在の免疫は、「第3の防御機構」と呼ばれます。
獲得免疫は、「細胞性免疫」と「体液性免疫」に分類することが出来ます。
細胞性免疫と体液性免疫
この2つの違いは、病原体を攻撃する物質が「細胞自身」か「抗体」かです。
細胞性免疫
細胞性免疫は、キラーT細胞👮が病原体に侵された細胞を直接攻撃します。病原体ぶっつぶす!
ちなみにヘルパーT細胞👓は細胞性免疫と体液性免疫の働きを司ります。
落ち着いて言うことを聞け。
ヘルパーT細胞👓は、獲得免疫の司令塔にもなりますが、マクロファージの食作用を増強させる力も持っています。
◆T細胞が病原体を排除する流れ
①リンパ節で樹状細胞が抗原を提示すると、「T細胞」がやってきます。②病原体とT細胞が結合することにより、T細胞が活性化します。
③するとヘルパーT細胞やキラーT細胞に分化し増殖します。
④増殖したヘルパーT細胞は周りに仕事をするように指令を出し、キラーT細胞は、感染した細胞の場所まで移動し、標的を見つけます。
⑤キラーT細胞は、病原体と結合し攻撃、細胞ごと病原体を排除します。
⑥増殖したヘルパーT細胞、キラーT細胞の一部は、それぞれ記憶細胞となって残り、また同じ病原体が入った来た時に活性化して攻撃します。
◆NK細胞👧🏻とキラーT細胞👮の違い
両者とも感染した細胞を直接攻撃して排除する仕事をしていますが、・NK細胞(ナチュラルキラー細胞)👧🏻は自然免疫です。元々備わっています。
・キラーT細胞👮は獲得免疫です。入って来た病原体に対応した免疫を獲得後、記憶細胞となって残り、次に同じ病原体が入ってきた時に素早く退治します。
両者は仕事内容が似ているので、「はたらく細胞」の作中でも度々喧嘩をしていますw
体液性免疫
体液性免疫は、B細胞👨🏻🔧が「抗体」と呼ばれるたんぱく質を作り出し、病原体を排除する免疫です。◆「抗原」と「抗体」
抗体(こうたい)とは、抗原を捕まえて排除する、特殊部隊のようなものです。
抗原と抗体が反応することを「抗原抗体反応」と言います。
抗原抗体反応が起こると、病原体の感染力や勢力が落ちます。
B細胞が直接病原体に攻撃することはないので、「細胞性免疫」と区別されています。
ただし病原体に結合はします。B細胞が病原体と結合することで抗体が分泌されます。
◆免疫グロブリン
リンパ球に「非自己」として認識されたもの全般を「抗体」と呼びましたが、具体的にB細胞が分泌する抗体は、免疫グロブリンと呼ばれます。1種類の免疫グロブリンが結合できるのは、1種類の抗原のみです。
また、1つのB細胞は、1種類の免疫グロブリンを作ることしかできません。
病原体はたくさんの種類があり、免疫グロブリンもたくさんの種類をつくらなければならないので、一概に「B細胞」と言っても、多くの種類が存在することになります。
◆B細胞が病原体を排除する流れ
①リンパ節で樹状細胞が抗原をヘルパーT細胞に提示します。②ヘルパーT細胞がB細胞を活性化させます。
③活性化したB細胞は増殖し、抗体をたくさん分泌する「形質細胞」に分化します。
④形質細胞が分泌した抗体は感染部へ運ばれて抗原抗体反応が起こります。
◆なぜ"体液性"免疫という名前なの?
抗体が血しょう(血液の液体成分)の中に分泌されるためです。◆T細胞、B細胞の名前の由来は?
・T細胞が「胸腺(Thymus)」で分化熟成するからです。・B細胞が「骨髄(Bone marrow)」で分化熟成するからです。
白血球とリンパ球まとめ
病原菌を排除する血球は白血球ですが、その中でもNK細胞、T細胞、B細胞は、リンパ球でもあります。
獲得免疫が機能しなくなる病気「エイズ」になるとどうなる?
エイズ(AIDS)は「後天性免疫不全症候群」と言い、名前の通り後天的に免疫の力働かなくなってしまう疾患です。
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)がヘルパーT細胞に感染し、破壊することにより、獲得免疫が機能しなくなります。
獲得免疫の機能が落ちると、弱い病原体にも簡単に侵されてしまうようになり、様々な病気を併発することになります。
「一次応答」と「二次応答」とは?
ヒトの場合、今まで入ってきたことがない病原体が初めて体内へ入ってから、免疫反応が起こるまで1週間前後かかります。このように、初見の病原体侵入後、一定の時間がかかった後に反応が出ることを「一次応答(一次免疫応答)」と呼びます。
一方で、過去に体に入ってきたことがある病原体によって作られた免疫記憶が残っていれば、速い速度で免疫反応が起こります。また、抗体を産生する量や期間も長く、一次応答よりも強い免疫応答となります。
このような、再会する病原体への強い免疫応答を「二次応答(二次免疫応答)」と呼びます。
「免疫記憶」
増殖したT細胞やB細胞は、必ず一部のものが記憶細胞として残ります。このような仕組みを免疫記憶と呼びます。
ワクチンとは?予防接種とは?
力を弱くさせた(または死滅させた)病原体をのことをワクチンと言います。
ワクチンを体に注射することにより、抗体を作らせる(一次応答を引き起こす)ことを予防接種と言います。
一度接種した病原体が体内に侵入すると二次応答が起こり病原体をシャットアウトすることができます。
ハンコ注射(BCG)をした理由
「BCGワクチン」「ツベルクリン反応」という言葉を聞いたことがありますか?
BCGワクチンは、いわゆる「はんこ注射」「スタンプ注射」と呼ばれるもので、あなたの腕にもその跡が残っていると思います。(残らない人もいます)
これは結核にかからないための予防接種で、生後11か月までに行われることが推奨されています。(2019年現在)
BCGワクチンを打つと、結核菌に対する免疫が作られます。
ツベルクリン反応は、実際に結核にかかったことがあるかどうかの検査です。
ツベルクリンを注射すると、結核菌の抗体がある人は、注射した部分が赤く腫れあがります。作られた記憶細胞が反応し炎症を起こすためです。
昔は、先にツベルクリン反応を行って反応が出ない人だけにBCGが接種されていました。
しかし2005年の結核予防法の改正後からはツベルクリン反応を省略し、結核にかかったことのないと思われる赤ちゃんの内にBCGを打つことになりました。
インフルエンザに繰り返し感染してしまうのはなぜ?
過去にインフルエンザにかかったことがある人がまた感染してしまうことがあります。「免疫が付いているはずなのになぜ?」と思う人も多いかもしれません。
その答えは、インフルエンザウイルスはたくさんの種類があるからです。
インフルエンザウイルスは、大きくA型、B型、C型に分けられますが、それらは更に細かく分類されていきます。
例えばA型であれば100種類以上に及びます。また、少しずつ変異しており、どんどん種類が増えています。
人為的に抗体を作ってから、注射して治療することも可能
抗体を体内に注入して感染症を治すこともできます。
抗体を入れた血清を、「抗血清」と言います。
血清とは、血液を遠心分離して血球とフィブリンなどの繊維を取り除いたものことを言います。
抗血清の作り方
①ウサギやマウスなどの動物に病原体を注射することで、その動物の体内で抗体を作り出す。②動物の体内に抗体が出来たら血液を回収して遠心分離し、抗血清を作る。
◆どんな時に使われるの?
例えば、毒蛇に噛まれた時などに抗血清が注射されます。このような治療法を血清療法と呼びます。
最近は抗血清から更に免疫グロブリンだけを抽出した「免疫グロブリン製剤」が使われます。
ただしこの場合は自分のB細胞を使って抗体を作っているわけではないので免疫記憶は生じません。
アレルギーは免疫システムのエラーが原因
全く害のないものを間違えて抗原と認識し、免疫反応を引き起こしてしまうこともあります。これがアレルギーです。アレルギーは、今や持ってない人の方が少ないくらいですよね。筆者もシラカバ花粉とネコのアレルギーがあります。このような、アレルギーを引き起こすものをアレルゲンと呼びます。
花粉症も花粉のアレルギー症状です。
強いアレルギーを持っている人は、アレルギー反応によりアナフィラキシーショックというショック症状が出て死に至る場合もあるので、注意が必要です。
自己免疫疾患とは?
基本的に、免疫は自分の体を攻撃することはありません。しかし、何らかのエラーにより免疫が自分の健康な細胞を攻撃してしまうことがあります。このような疾患を「自己免疫疾患」と呼びます。
自己免疫疾患は、たくさんの種類があります。例えば、自分自身の関節の組織を抗原と認識して攻撃する疾患を「関節リウマチ」と言います。
白血病と免疫の関係は?
白血病は、白血球が無制限に増殖する病気です。この病気は「骨髄移植療法」によって治すことができます。これは他人の「造血幹細胞」を移植する治療法です。しかし他人の造血幹細胞を移植するとかなりの確率で「非自己」という認識がされてしまい、免疫によって細胞が攻撃されるとになってしまいます。
「この造血幹細胞は自分のもの」と認識される造血幹細胞に巡り合うのは非常にまれであるため、多くのドナー登録が求められています。
2019年2月に、競泳の池江璃花子選手が白血病と診断されたことを公表してからドナー登録が急増しています。
気になる方は→【ドナー登録をお考えの方へ(日本骨髄バンク)】
※登録は18歳以上、54歳以下となります。
ドナー登録者さんのマンガ
骨髄バンク登録して25年です。— 森本里菜 (@Rina_Morimoto) 2019年2月13日
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これを読んで、もしよかったら登録だけでもしてくださる方がいてくれれば嬉しいです。☺️#骨髄バンク登録 #骨髄ドナー登録 pic.twitter.com/1xW2JpJlnS
ゾンビで考えてみる免疫
・一般市民ゾンビを触っただけではゾンビ化しませんが、噛まれて皮膚を破られ体内にゾンビウイルスが入ると普通の人はゾンビ化してしまいます。
皮膚というバリアが壊されたことによるためです。
またゾンビウイルスは空気中にまき散らされることもあります。口や鼻には厚いバリアがないため、ウイルスは簡単に侵入してしまいます。
そうなると、ゾンビウイルスに対する免疫を持たない一般市民はすぐに感染してゾンビになってしまいます。
・噛まれてもゾンビ化しない人
ゾンビゲームの主人公クラスとなると、ゾンビに噛まれてもゾンビにならない人が出てきます。
その人はおそらく生まれながらにゾンビウイルスへの自然免疫が備わっているのだと思われます。
「感染しない」または「感染していてもゾンビ化しない」のどちらかになります。
・ゾンビ化しかけたが薬で治る人
ゾンビ化しかけた人にワクチンを打っても遅いので、「抗血清」または「免疫グロブリン製剤」を投与することになります。
自分の体以外の場所で抗体を作ってから注射するため、免疫記憶が残りません。そのためゾンビ化しかけてから治った人でも、ワクチンなどで免疫を作る必要があります。
・薬の効果でゾンビ化しない人
ワクチンを打つことによりゾンビ化しない人物もいます。
無毒化(または弱体化)したゾンビウイルスを接種することにより、抗体を作らせ、ゾンビウイルスに対する免疫作ります。
・「抗体を持っている」と言われる人
ここで言われる「抗体」が本当に獲得免疫によりB細胞から分泌された抗体なのかどうかは怪しいところです。
普通に生活していても「ストレスへの抗体ができた」とか言いますから、科学的ではなく、比喩的に「抗体」という言葉が使われているのかもしれません。
もしも本当に「B細胞から分泌される抗体」があるとしたら、過去に軽いゾンビウイルスに感染し、その後完治したか、もしくは親が感染した後にできた抗体を引き継いだか、知らない間にワクチンを打たれたか、になります。
さいごに
免疫の範囲は難しいですが、まずゾンビにあてはめて理解をし、その後T細胞、B細胞など細かいところを見直していくと頭に入りやすくなると思いますよ😊
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