【ヒトの代謝】酵素に関係する語句についてわかりやすく解説してみた!
小学校か中学校の理科の実験で「自分の唾液を採取してデンプン溶液に入れてみる」という実験を行いました。
すると「唾液がデンプンを溶かす」というという実験結果になりましたよね。
酵素とは?
これは、唾液に含まれているアミラーゼという酵素がデンプンを分解したからです。
つまり、酵素は「ある物質を分解するもの」ということになります。
実は酵素は分解するだけではなく、合成することもできます。
酵素が分解や合成を行っても、酵素自体は変化しません。
酵素は何でできている?
タンパク質でできています。
ちなみにタンパク質を分解する酵素もタンパク質でできています。
基質とは?
酵素によって変化する物質を基質といいます。
アミラーゼという酵素によって分解される糖質は「基質」です。
そして基質が酵素によって分解された後にできる物質を生成物といいます。「生成された物」そのままですね。
基質特異性とは?
アミラーゼは糖質しか分解しません。
このように、酵素が特定の物質にしか作用しないことを基質特異性といいます。
基質と酵素が反応するときは、二つが一度くっついて複合体になります。
その後、化学反応が起こり、分解がおこっています。
活性化エネルギーとは?
物質の分解などの化学反応が起こるときは、エネルギーが必要になってきます。そのときに使われるエネルギーを活性化エネルギーといいます。
デンプンはアミラーゼによって分解されるという話をしましたが、実はデンプンはアミラーゼがなくても分解することができます。
デンプンをアミラーゼがない状態で分解する手段の1つとして、デンプンに強い酸を加えてから高熱で加熱する方法があります。
この場合は強い酸の力と高熱が必要なので、この時は強力な活性化エネルギーが必要となってきます。
一方でアミラーゼがあれば、強い酸も過熱も必要ありませんよね。つまり、アミラーゼがある時は、活性化エネルギーが小さくて済むというわけです。
活性化状態(遷移状態)とは?
活性化エネルギーを使って基質から生成物へ変化している中で、一番頑張って変化している時のことを活性化状態といいます。
活性化状態は遷移状態(せんいじょうたい)ともいいます。
遷移の「遷」も「移」も、「移り変わり」を意味します。基質から生成物へ移り変わっている状態ということですね。
触媒とは?
上記のように、少ない活性化エネルギーでも化学反応を起こすことができるもののことを触媒(しょくばい)といいます。
つまりアミラーゼなどの酵素は触媒です。
触媒がある状態の方が、触媒がない状態よりも圧倒的に分解するスピードは速くなります。
こういった酵素反応の速さのことを反応速度といいます。
酵素の量に対して基質の量のほうが少なければ、反応速度は速くなりますが、基質の割合がある程度多くなれば、反応速度は一定の速さになります。
活性中心とは?
決して「酵素全体が触媒」というわけではありません。酵素には触媒作用を行う特定の部位が存在します。
この部位のことを活性中心といいます。これは活性部位ともいいます。
酵素反応がが阻害される?
一方で特定の物質によって反応速度が落ちることを阻害といいます。
阻害をおこす物質を阻害剤といいます。
阻害剤は、酵素の特定部位に結合します。
阻害には、競争阻害と非競争的阻害があります。
競争阻害とは?
基質と競争して、酵素とは反応を示さないものがくっついてしまうことを競争的阻害(競合阻害)といいます。
非競争阻害とは?
基質とは競争せずに酵素反応を阻害することを非競争的阻害といいます。
これは、酵素の特定の部位に結合し、活性中心の立体構造に変化を与えて酵素反応を阻害します。
基質が酵素にくっついているかどうかは関係ありません。
酵素が頑張る条件
酵素の働きは、環境によって頑張り方が変わってきます。
たとえばヒトの酵素の場合は温度が37℃、pHが中性(pH7付近)で最も働きます。
このように、酵素が一番働く温度のことを最適温度、酵素が一番働くpHのことを最適pHといいます。
ただし、ペプシンのような胃酸ではたらく酵素の最適pHは酸性、アルカリフォスファターゼの最適pHはアルカリ性など、酵素がはたらく場所によって最適pHが違う場合もあります。
金属酵素とは?
酵素の活性中心の一部が金属である酵素があります。そういった酵素のことを金属酵素といいます。
補酵素とは?
自分ひとりで働く酵素もありますが、他の物質の力を借りなければ働けない酵素もあります。
他の物質の力を必要とする酵素の援助を行う物質のことを補酵素といいます。
補酵素は、低分子の有機化合物です。
食事としてとったビタミンB群やビタミンKが体内で変化して補酵素になります。
補酵素は、酵素そのものではなくて、「酵素を補助する物質」ということです。
酵素自体が変化することはある?
酵素はタンパク質でできているので、特定の条件下で形を変えたり力を失ったりすることがあります。
形を変えることを変性、力を失うことを失活といいます。
酵素が熱せられたり、苦手なpHの環境の中に入ってしまうと変性や失活がおこります。
すると「唾液がデンプンを溶かす」というという実験結果になりましたよね。
酵素とは?
これは、唾液に含まれているアミラーゼという酵素がデンプンを分解したからです。
つまり、酵素は「ある物質を分解するもの」ということになります。
実は酵素は分解するだけではなく、合成することもできます。
酵素が分解や合成を行っても、酵素自体は変化しません。
🔶酵素
もくじ
・酵素とは?
・酵素は何でできている?
・基質とは?
・基質特異性とは?
・活性化エネルギーとは?
・活性化状態(遷移状態)とは?
・触媒とは?
・活性中心とは?
・酵素反応がが阻害される?
・酵素が頑張る条件
・金属酵素とは?
・補酵素とは?
・酵素自体が変化することはある?
・酵素とは?
・酵素は何でできている?
・基質とは?
・基質特異性とは?
・活性化エネルギーとは?
・活性化状態(遷移状態)とは?
・触媒とは?
・活性中心とは?
・酵素反応がが阻害される?
・酵素が頑張る条件
・金属酵素とは?
・補酵素とは?
・酵素自体が変化することはある?
酵素は何でできている?
タンパク質でできています。
ちなみにタンパク質を分解する酵素もタンパク質でできています。
基質とは?
酵素によって変化する物質を基質といいます。
アミラーゼという酵素によって分解される糖質は「基質」です。
そして基質が酵素によって分解された後にできる物質を生成物といいます。「生成された物」そのままですね。
基質特異性とは?
アミラーゼは糖質しか分解しません。
このように、酵素が特定の物質にしか作用しないことを基質特異性といいます。
基質と酵素が反応するときは、二つが一度くっついて複合体になります。
その後、化学反応が起こり、分解がおこっています。
活性化エネルギーとは?
物質の分解などの化学反応が起こるときは、エネルギーが必要になってきます。そのときに使われるエネルギーを活性化エネルギーといいます。
デンプンはアミラーゼによって分解されるという話をしましたが、実はデンプンはアミラーゼがなくても分解することができます。
デンプンをアミラーゼがない状態で分解する手段の1つとして、デンプンに強い酸を加えてから高熱で加熱する方法があります。
この場合は強い酸の力と高熱が必要なので、この時は強力な活性化エネルギーが必要となってきます。
一方でアミラーゼがあれば、強い酸も過熱も必要ありませんよね。つまり、アミラーゼがある時は、活性化エネルギーが小さくて済むというわけです。
活性化状態(遷移状態)とは?
活性化エネルギーを使って基質から生成物へ変化している中で、一番頑張って変化している時のことを活性化状態といいます。
活性化状態は遷移状態(せんいじょうたい)ともいいます。
遷移の「遷」も「移」も、「移り変わり」を意味します。基質から生成物へ移り変わっている状態ということですね。
触媒とは?
上記のように、少ない活性化エネルギーでも化学反応を起こすことができるもののことを触媒(しょくばい)といいます。
つまりアミラーゼなどの酵素は触媒です。
触媒がある状態の方が、触媒がない状態よりも圧倒的に分解するスピードは速くなります。
こういった酵素反応の速さのことを反応速度といいます。
酵素の量に対して基質の量のほうが少なければ、反応速度は速くなりますが、基質の割合がある程度多くなれば、反応速度は一定の速さになります。
活性中心とは?
決して「酵素全体が触媒」というわけではありません。酵素には触媒作用を行う特定の部位が存在します。
この部位のことを活性中心といいます。これは活性部位ともいいます。
酵素反応がが阻害される?
一方で特定の物質によって反応速度が落ちることを阻害といいます。
阻害をおこす物質を阻害剤といいます。
阻害剤は、酵素の特定部位に結合します。
阻害には、競争阻害と非競争的阻害があります。
競争阻害とは?
基質と競争して、酵素とは反応を示さないものがくっついてしまうことを競争的阻害(競合阻害)といいます。
非競争阻害とは?
基質とは競争せずに酵素反応を阻害することを非競争的阻害といいます。
これは、酵素の特定の部位に結合し、活性中心の立体構造に変化を与えて酵素反応を阻害します。
基質が酵素にくっついているかどうかは関係ありません。
酵素が頑張る条件
酵素の働きは、環境によって頑張り方が変わってきます。
たとえばヒトの酵素の場合は温度が37℃、pHが中性(pH7付近)で最も働きます。
このように、酵素が一番働く温度のことを最適温度、酵素が一番働くpHのことを最適pHといいます。
ただし、ペプシンのような胃酸ではたらく酵素の最適pHは酸性、アルカリフォスファターゼの最適pHはアルカリ性など、酵素がはたらく場所によって最適pHが違う場合もあります。
金属酵素とは?
酵素の活性中心の一部が金属である酵素があります。そういった酵素のことを金属酵素といいます。
補酵素とは?
自分ひとりで働く酵素もありますが、他の物質の力を借りなければ働けない酵素もあります。
他の物質の力を必要とする酵素の援助を行う物質のことを補酵素といいます。
補酵素は、低分子の有機化合物です。
食事としてとったビタミンB群やビタミンKが体内で変化して補酵素になります。
補酵素は、酵素そのものではなくて、「酵素を補助する物質」ということです。
酵素自体が変化することはある?
酵素はタンパク質でできているので、特定の条件下で形を変えたり力を失ったりすることがあります。
形を変えることを変性、力を失うことを失活といいます。
酵素が熱せられたり、苦手なpHの環境の中に入ってしまうと変性や失活がおこります。