アントシアニン、アントシアン、アントシアニジンの違いは?キャラ化して説明!

アントシアン、アントシアニン、アントシアニジン…これらはすべて、フラボノイド系の色素成分です。

では、何がどう違うのか?

確認してみましょう!

🔶アントシアニン

アントシアニン






アントシアニンとは?


よくテレビで紹介される「アントシアニン」。

これは、ブルーベリーやぶどう、ラズベリーなど、濃い赤の色を持っている植物に含まれる色素成分です。

色素成分には、「カロテノイド系」や「ポルフィリン系」、「フラボノイド系」など色々あるのですが、この中の「フラボノイド系」に入ります。

フラボノイド系とは、分子の基本構造が

フラバン(フラボノイドの基本骨格)

このような構造(フラバン)を基本骨格としている色素のことをいいます。

アントシアニンも、このような骨格をもっています。


ポリフェノールなの?


そうです。ポリフェノールとは、2個以上の「フェノール性ヒドロキシ基」を持つ物質のことを言います。

フェノール

アントシアニンは、上記で説明した「フラバン」という基本骨格を持ちながら、「フェノール性ヒドロキシル基」も一緒に持っているので、ポリフェノールでもあります


体にいいの?


はい。ポリフェノールには抗酸化作用があります。

抗酸化作用は、体内の酸化(老化)を抑えるので、それが病気の予防につながります。


「目にいい、は嘘」と聞いたけど?


一般的に「視力回復によい」などと言われていますが、それが人の目に効果があるかどうかについては、現時点(2019.1.18現在)では十分なデータがないので、効果を断言することはできません



分類を詳しく教えて

アントシアニンとアントシアニジン

一番有名なアントシアニンは、分子の中にを持っています

このような構造のことを「配糖体」または「グリコシド型」と言います。


この糖が外れると、配糖体ではなく「アグリコン型」になります。

アントシアニンがアグリコン型になると、「アントシアニジン」という分類になります。


そして、糖を持っている「アントシアニンと、糖を持っていない「アントシアニジン総称してアントシアン」と呼びます。

「アントシアニン」と「アントシアニジン」。それぞれ更に分類されていくので、見ていきましょう。



食品中に含まれる主なアントシアン


フラバンb

フラバン骨格の、Bの部分についているヒドロキシ基(-OH)の数により細かく分類されていきます。

隣り合っている(-OH)が多いほど抗酸化力は上がり、味が苦くなります。



(-OH)が1個:ペラルゴニジン系

ペラルゴニジン系

ペラルゴニジン系のアントシアンは赤い色素です。

糖を持っていない「アントシアニジン」のものは、「ペラルゴニジン」という名前で、ザクロやイチゴ、あずき、赤いラズベリ―などの果物や豆に含まれます。

糖を持つ「アントシアニン」の方は更に分けられ、特にザクロ、イチゴ、アズキに多い色素を「ペラルゴニン」、赤ラズベリーに多い色素を「カリステフィン」と呼びます。


アントシアニジン/ペラルゴニジンの方は、最後に「ジン」が付くので、隣の2つと区別しやすくなっています。


キャラクターは「意識高い系男子」をイメージして描きました😁
ちなみにこの後に出てくるキャラクター達も「意識高い系」です。

「英語ペラペラ」「誤認」「カリスマ」というような感じで関連付けすると、他のものとごちゃごちゃになりにくいですよ。

ちなみに、背中に差している剣は、ヒドロキシ基(-OH)です。

oh

ヒドロキシ基が多いと抗酸化力が高くなる=酸化をやっつけるという意味で武器を持たせました。



(-OH)が2個:シアニジン系


シアニジン系
シアニジン系のアントシアンも赤い色素です。

糖を持っていない「アントシアニジン」は、「シアニジン」という名前で、スモモ、黒ラズベリー、赤カブ、赤キャベツ、赤しそなどの果物や野菜に含まれます。

糖を持つ「アントシアニン」の方は更に分けられ、特にスモモ、黒ラズベリーに多い色素を「クリサンテミン」、赤カブ、赤キャベツ、赤しそに多い色素を「シアニン」と呼びます。


アントシアニジン/シアニジンも、最後に「ジン」が付くので区別しやすいです。

「幸せアントシアニジン」「クリスマスはサンタ」「幸せアントシアニン」というような感じで関連付けて覚えます。

ちなみに「シアニン」は、シソに含まれているので「シソニン」と呼ばれることもあります。可愛い名前ですよね😊



(-OH)が3個:デルフィニジン系


デルフィニジン系

デルフィニジン系のアントシアンは青~紫色の色素です。

糖を持っていない「アントシアニジン」は、「デルフィニジン」という名前で、ブルーベリー、ブドウ、ナスなどの紫っぽい色の野菜や果物に含まれます。

糖を持つ「アントシアニン」の方は更に分けられ、特にブルーベリーや紫色のブドウの果皮に多い色素を「オエニン」、こちらもブドウの皮に含まれる色素を「マルニン」、ナスに含まれる色素を「ナスニン」と呼びます。

他と同じように、アントシアニジン/デルフィニジンは、最後に「ジン」が付きます。

手品が趣味の意識高い系のお兄さんをイメージして、「何が出るかな?デルフィニジン」「最初に飴が出てきた!応援してね」「丸い何かが出てきた」「ナスだった!」というような感じで関連付けして覚えます😎



(-OCH2)が付いている場合


あまり重要ではありませんが、(-OH)の代わりに(-OCH2)が付いているものもあります。

「マルビジン系」「ペオニジン系」「ペチュニジン系」などに分類されていきます。



どんな「糖」が付いているの?


グルコース、ガラクトース、ラムノース、アラビノースが付きます。

実は糖の他にも、酢酸やコーヒー酸、フェルラ酸、マロン酸などの酸と結合している場合もあります。

アントシアニンは、結合している糖の種類や数によって種類が分けられています。



pHによって色が変わる


アントシアニン色素は、酸性領域では赤色、中性では藍色、アルカリ性で青色になる性質を持っています。

なので、元々黒っぽい色をしているシソの葉を梅干しと一緒に漬けると、クエン酸により酸性になり、シソニンが鮮やかな赤色になります。

ただ、酸性下での赤色は安定するのですが、アルカリ性下での青色は不安定なので退色する場合があります。


青さを出したい場合は、スズ、銅、鉄などのイオンと錯体を形成させます。

たとえばナスの漬物を作る時は乳酸発酵が起こり酸性になるのですが、その時、ナスの皮が赤黒~茶色っぽくなり色が悪くなります。

漬物にミョウバンや鉄くぎなどを入れて金属イオンと結合させることで鮮やかな青い漬物を作ることができます。




管理栄養士国家試験に出やすいのは?


・アントシアニンはフェノール性水酸基を持つこと

・酸性領域では赤くなること

・金属イオンと錯体を形成をすると青くなること

・カリステフィンはイチゴに含まれる

・シソニンはシソに含まれる

・ナスニンはナスに含まれる

は出やすいようなので、国試を受ける人は最低限これだけは覚えておきましょう。



極端に取りすぎるのもNG


アントシアニンには高い抗酸化力はありますが、サプリメントなどでとりすぎることによる健康被害が報告されています。

普通に果物や野菜を食べるくらいなら過剰になることはありせんが、一般的な食事では食べられない量の濃縮されたアントシアニンを、特に妊婦さんが摂り続けると胎児に悪い影響が起こる可能性があるので、適量を守りましょう。(ソース:Prenatal closure of the ductus arteriosus and maternal ingestion of anthocyanins.)ちなみに妊婦以外の人への安全性についても保障はできないようです。



まとめ


アントシアンまとめ

名前が似ているので混同されがちですが、ここで登場した「意識高い系男子」をイメージして覚えると、間違えることはありませんよ♪



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