基質レベルのリン酸化とは?物質をキャラ化してわかりやすく説明!

ATPが作られる時「基質レベルのリン酸化」って言葉が使われますよね。

でも教科書の説明って結構難しい…。

なので、ここでわかりやすく説明します!


🔶基質レベルのリン酸化







そもそも基質とは?


基質とは、化学・生物的な意味では、酵素の力よって変化する物質のことをいいます。

酵素によって変わる物質ですから、例えばアミラーゼという酵素によって分解される「糖質」も「基質」です。酵素によって変化する物質はたくさんありますよね。


"気質"・・・ではないわよ。



リン酸化とは?


物質にリン酸がくっつくことを「リン酸化」と言います。

リン酸
※このサイトでは、リン酸を鈴に例えています。


基質レベルのリン酸化とは?


つまり、基質酵素の働きによってリン酸化することによりATPまたはGTPをつくる反応のことを言います。

「基質的リン酸化」とも呼ばれます。

※ATPまたはGTPを作らない、ただの酵素によるリン酸化は「基質レベルのリン酸化」ではありません。


具体的な例


基質的リン酸化の説明(ホスホエノールピルビン酸からピルビン酸

覚えやすい方から説明しますね。

例えば、解糖系の最終段階では、ホスホエノールピルビン酸という基質からピルビン酸とATPができるのですが、

この時、酵素(ピルビン酸キナーゼ)が、ホスホエノールピルビン酸からリン酸を切り離し、そのリン酸をADPにくっつけています。

するとピルビン酸とATPができます。

ピルビン酸キナーゼ(器質的リン酸化の説明

このように、酵素の働きによってADPにリン酸がくっついてATPができることを、基質レベルのリン酸化と呼んでいます。



他にも基質レベルのリン酸化が起こる場所はある?


あります。代表的な場所を挙げますね。

解糖系で1,3-ビスホスホグリセリン酸から、酵素により3-ホスホグリセリン酸とATPが誕生する時


基質的リン酸化の説明(1,3ビスホスホグリセリン酸から3-ホスホグリセリン酸になるとき

ピルビン酸とATPが生成される時と同じような感じでリン酸化が起こります。

3-ホスホグリセリン酸キナーゼ(基質的リン酸化の説明

解糖系で基質レベルのリン酸化が起こるのは、この反応と最初に説明したホスホエノールピルビン酸からピルビン酸になる時の2か所です。

そもそも解糖系でATPが生成される場所はこの2つしかないので、解糖系でのATP生成=(イコール)基質レベルのリン酸化になります。



クエン酸回路でスクシニルCoAから、酵素によりコハク酸とGTPが誕生する時


クエン酸回路-基質的リン酸化の説明

クエン酸回路でも、解糖系と同じような感じで基質レベルのリン酸化が起こります。



「酸化的リン酸化」とは?


酸化的リン酸化とは、その名の通り、酸化的にリン酸化することを言います。

例えば、電子伝達系では、NADHなどの電子伝達体の電子が離れることにより水素も離れ、その水素の動きによりATPが発生します。

酸化とは、酸素がくっつくことや電子や水素が離れることを言うので、電子伝達系では酸化が起こることによりADPにリン酸がくっつきATPが作られます。

酸化的リン酸化

詳しくは↓



まとめ


・ADPがリン酸化してATPになる時は「基質レベルのリン酸化」か「酸化的リン酸化」が起こっています。

・基質レベルのリン酸化では、酵素の作用によってリン酸化してATPが生じています。

・酸化的リン酸化では、電子伝達系の作用によって水素イオンが移動することによりリン酸化が発生し、ATPが生じています。





解糖系 わかりやすく



クエン酸回路