【キャラ化】解糖系をわかりやすく解説!
代謝の勉強の時、多くの人がぶち当たる「解糖系」!
簡単に言うと何なの?
どんなことが起こっているの?可愛いイラストを使って誰よりもわかりやすく説明します!
このサイトで説明すると、解糖系はこんな感じになります↓😄
キャラクターは筆者が物質をイメージして創作したものなので、実際の形とは大きく異なりますが、絵があった方が理解しやすいので、このような形で説明して行きますね。
「初級編」は、高校の生物の授業レベルです。
「中級編」は、高校生物の内容よりも詳しい内容と、反応に使われる酵素などを紹介していきます。専門学生や大学生向けのレベルです。
解糖系とは、簡単にいえば「体の中でグルコースを分解してエネルギーの素を作るしくみのこと」です!!
よく考えてみたら字の通りなんですよね。
「解」「糖」ですもんね。
人が生きるためにはエネルギーが必要です。
そのエネルギーは、「ATP」という物質から生まれます。
そのATPはどこから来るのかと言うと、主に糖を分解することで生まれます。(糖以外のものからATPが作られることもあります)
つまり人は、生きるために糖を分解します。
糖は一度の分解ですぐにエネルギーを作ることはできません。
いくつもの酵素を使って、いろいろな形に変化しながら、少しずつエネルギーに近づいていきます。
その経路がまさに「解糖系」というわけです。
仮に、まったく糖を食べない生活をしていたとしても、体内のタンパク質や脂質が分解されて糖を作り、使われます。
解糖系は、「グルコース(ブドウ糖)」から始まり、いくつかの物質に変化し、ATPを作りながら「ピルビン酸」という物質になっていきます。
→【ATPとは?小学生でもわかるように解説!】
第一段階では「準備期」ということで、ATPを作るためにエネルギーを使いながらグルコースを変化させていきます。
準備期の変化は3回行われます。
解糖系が始まると、まず、元々存在するATPのリン酸がグルコースに移動します。
ATP(アデノシン三リン酸)は、3つあったリン酸を1つなくして2つになるので、ADP(アデノシン二リン酸)になります。
ATPがADPになる時にエネルギーが発生するので、エネルギーを使ってリン酸を付けている、ということになります。
グルコースにリン酸がくっつくと、グルコース6-リン酸になります。
「6-」というのは、グルコースの6位の炭素にリン酸がくっついている、という意味です。
そもそも〇位というのは、右上の炭素から時計回りに数えて〇番目という意味です。
六角形の化学構造をしているグルコースの最初の炭素は、真右にあるので真右から数えていきます。
すると左上の部分が6位になるので、そこがリン酸になります。
このサイトでは、リン酸を鈴に例えて説明しているので、グルコースの頭に鈴が付きました。
こんな感じで説明していきますね😎
ちなみにグルコースは別名「ブドウ糖」と呼ばれるので、ブドウの形のキャラクターにしました。
ADPがなぜお相撲さんなのかについてはコチラ→【ATP:おまけ】
グルコース6-リン酸がフルクトース6-リン酸に変化します。
イラストは、フルクトースのフの形にしました。
リン酸の位置は変わらずに物質が変化しています。
フルクトースは別名で果糖とも言います。つまり、フルクトースのフルは、フルーツのフルです。
フルクトース6-リン酸は、ATPからリン酸をもらうので、ATPはADPになります。
フルクトース6-リン酸に、新しいリン酸がくっついて、リン酸が二つになりました。
リン酸がくっつくことをリン酸化反応といいます。(厳密には「リン酸の材料」が特定の場所について、その場所がリン酸と化すこと)
ちなみに「1,6」というのは、1位の炭素と6位の炭素にリン酸がついている、という意味です。
「ビス」という単語が名前についたので、頭に「ビス(ねじ)」を差したイラストにしてみました😊
本当の「ビス」は、ラテン語で「再び」という意味です。つまり「またリン酸がくっついた」という意味の「ビス」です。
ATPが作られれば、人が動くためのエネルギーになるわけですから、得になります。
なので、「報酬期」と呼ばれています。
ここで真っ二つにわかれます。
炭素が6つある分子が真っ二つにわかれるので、それぞれ炭素が3つずつの分子が2つできます。
教科書の図の
↑この「C6」は「炭素(C)が6個」、「C3、2」というのは、「炭素(C)が3個が2セット」という意味です。
グリセルアルデヒドのグリは、グリセリンのグリです。
グリセリン(別名:グリセロール)はご存知ですか?
一番身近なグリセリンと言えば、保湿剤として添加されるものかもしれません。リップクリームをはじめとする様々なお化粧品などに使われています。
ちなみにキャラクターは「グリズリー」がモデルです。
グリズリーにしてはちょっと情けないクマさんかもしれないですね😆
ちなみに炭素が3つになってしまったので、化学構造が環状ではなくなります。
炭素の数え方は上から①、②、③という感じです。
前の段階で分子が二つに分かれたので、この先も分かれた状態でそれぞれ進んでいきます。
ここでは、リン酸がグリセルアルデヒド3-リン酸にくっつくことにより、水素(H)が外れてNAD+にくっつくため、NADHが生成されます。
水素が外れることを脱水素といいます。水素を外す酵素のことを「脱水素酵素」といいます。
NADHは補酵素(酵素を補助する物)であり、「電子伝達系」でATPを作り出すものです。
「ビス」がついたので、頭にビスを差しました。
「ホスホ」がついたので、物干し竿にぶら下げました。
1,3-ビスホスホグリセリン酸の1位のリン酸がはずれてADPにくっつきATPが生まれます。
リン酸が外れることを脱リン酸化反応といいます。
ホスホエノールピルビン酸という名前なので、瓶っぽい形にしました。この時水が生成されます。まだ物干し竿に干されたままです。
解糖系のラストです。
ホスホエノールピルビン酸についているリン酸が外れると、その後ピルビン酸になります。
外れたリン酸がADPにくっつくことにより、ATPが生まれます。
この後、ピルビン酸はクエン酸回路へ入っていきます。
まとめ
最初はグルコース、次にフルクトース、その次にグリセリン、そしてピルビンの付く名前のものになることから、「グルコース期」「フルクトース期」「グリ期」「ビン期」と名付けました。こうやって分けた方が、覚えやすいので♪
解糖系は人や動物の体内だけでなく、食品中でも起こります。(例えばアルコールが作られる時など)
解糖系は細胞内の細胞質基質というところで行われます。
細胞質基質は細胞の中の器官を含まない液状の部分です。粒入りのミカンゼリーで例えると、ゼリーの部分です。
ちなみに細胞壁と核以外の部分をまとめて細胞質といいます。
教科書によっては、「解糖系は細胞質で起こる」と記述されている場合もあります。
グルコース+2個のADP+2個のリン酸+2個のNAD+
→2個のピルビン酸+2個のATP+2個のNADH+2個の水素+2個の水
C6H12O6+2ADP+2H3PO4+2NAD+
→2C3H4O3+2ATP+2NADH+2H++2H2O
ほぼ同じ意味です。例えればこのような違いです。
解糖は、糖を分解すること。解糖系は、糖を分解する時に起こっている変化のこと。
ちなみに「解糖系は解糖に関わる全ての反応」と説明する人もいますが、ある意味間違いでもないです。それぞれの意味で使われます。
ただ、高校の教科書などで一般的に使われる「解糖系」は、「糖を分解する時に起こっている変化」の方です。
試験で問われやすいポイントをチェック!
・解糖系はグルコースから始まって、最後は何になる?→答え
・途中で分子が3つに分裂する。〇か×か?→答え
・反応が行われている場所は?→答え
・NADHは生成される数は?→答え
・ATPが使われてADPになるのは、何回?→答え
・報酬期ではATPをいくつ作っている?→答え
以外と簡単だったでしょう(^▽^)
どんなことが起こっているのか理解すれば、覚えやすくなりますよ♪
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ここからは酵素たちが登場します!
酵素:ヘキソキナーゼ
グルコースがグルコース6-リン酸に変わる時は、「ヘキソキナーゼ」という酵素が使われます。
「ヘキソ」は「ヘキソース(六炭糖)」のこと。「キナーゼ」は「リン酸を移動する酵素」という意味があります。
最初の酵素はヘソを出しながらリン酸を外す、というようなイメージで覚えます。
ここに登場する酵素たちは格闘技を行うキャラ達に統一することにしました😊
「キナーゼ」が付く酵素は空手家です。
酵素:グルコースリン酸イソメラーゼ
グルコースリン酸イソメラーゼは「グルコースフォスフェートイソメラーゼ」とも呼ばれます。フォスフェートはリン酸のことなので、英語か日本語かの違いです。
「イソメラーゼ」は、「異性化する酵素」のことです。つまり、使われる材料はそのままで、形だけを変える酵素、ということです。
グルコースリン酸に見初めて抱き着いたらフルクトースになった!的に覚えます。
「ラーゼ」が付く酵素は、レスリング選手にしました。
酵素:ホスホフルクトキナーゼ
フルクトースにリン酸をつける酵素です。
また「キナーゼ(空手家)」が出てきましたね。
「ホスホ」はリン酸のことです。名前の通り、リン酸をフルクトースにくっつけています。
ここでアルドラーゼによって真っ二つにわかれます。
片方はグリセルアルデヒド3-リン酸になり、もう片方はジヒドロキシアセトンリン酸になります。(ジヒドロキシアセトンリン酸は「初心者編」では省略されていましたね。)
ジヒドロキシアセトンリン酸はすぐに「トリオ―スリン酸イソメラーゼ」によってグリセルアルデヒド3-リン酸になるため、グリセルアルデヒド3-リン酸が2つになります。
ここで炭素が6つの物質から、炭素が3つの物質2セットに変わります。
酵素の名前長いですよね。ここでの酵素のキャラは女子プロレス選手にしましたが、こんな名前の選手がいたらカッコいいです。
「デヒドロゲナーゼ」は、「脱水素酵素」という意味です。つまりグリセルアルデヒド3-リン酸の水素をもらう酵素、ということです。
ここでは、水素が二つ移動します。
酵素:ホスホグリセリン酸キナーゼ
また「キナーゼ(空手家)」が出てきましたね。
3-ホスホグリにするーぜと覚えます。
2-ホスホグリセリン酸は、よくカットされます。特に生成物もないし、ただリン酸が移動するだけなので。
「ムターゼ」は、「同一分子内の官能基を別の場所に移動する酵素」という意味です。
ムターゼ担当は、ムエタイ選手にしました。
「ラーゼ」なのでレスリング選手さんです。
エノラーゼは、2-ホスホグリセリン酸に働きかけ、水を出します。その時ホスホエノールピルビン酸が誕生します。
「エノール」は、アルコールの一種です。
空手家のピルビン酸キナーゼさんにリン酸を蹴ってもらいました。リン酸が外れるとピルビン酸になります。
・ホスホフルクトキナーゼ→ADP生成
・ホスホグリセリン酸キナーゼ→ATP生成
・ピルビン酸キナーゼ→ATP生成
4つの「キナーゼ」が付く酵素が関わっている場所には必ずADP・ATPが関係しています。
酵素:乳酸脱水素酵素(LD)
乳酸脱水素酵素は、英名で「Lactate Dehydrogenase(ラクテイトデヒドロゲナーゼ)」というので、他のデヒドロゲナーゼと同じく女子プロレスキャラにしました😉
通常のコースでは、ピルビン酸になった後は乳酸にならず、「クエン酸回路」へ入っていきます。
しかし、ある条件下では、ピルビン酸はクエン酸回路へは入らずに乳酸に変化することがあります。
筋トレや100m走など、息の切れるような運動をしたときにピルビン酸から変化します。
つまり、無酸素状態で乳酸に変化する、ということです。
解糖系はここで終わりになります。
解糖系は基本的には可逆反応です。
つまり、解糖系の中で変化する物質のほとんどは、直前の形態に戻ることができる、ということです。
ですが、前の形態に戻ることができないポジションが3つあります。
準備期:一番最初のグルコースとグルコース6-リン酸の間
この3つの場所だけは、前の形態に戻ることができません。
不可逆反応が起こる原因は、その場所にある酵素(ヘキソキナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、ピルビン酸キナーゼ)が原因であると考えられています。
不可逆反応を示す酵素は3つとも「キナーゼ」が付く酵素達でしたが、もう一人「キナーゼ」が付く酵素がいましたよね。
そうです、ホスホグリセリン酸キナーゼです。彼はATPのリン酸を外して1,3-ビスホスホグリセリン酸に渡すことができるので、ここでは可逆反応を示します。
解糖系の律速酵素はヘキソキナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、(ピルビン酸キナーゼ)です。不可逆反応を示した三人ですね。
律速酵素とは、代謝の中で反応が最も遅い酵素、という意味です。
走る速さが人それぞれであるように、酵素によっても反応が始まってから完了するまでの速度が違います。
律速酵素による反応が行われている段階のことを「律速段階」と言います。
律速酵素の反応の速さにより、代謝の速度が決まります。運動会のリレーと同じです。リレー選手の中に足の遅い人が混ざっていたら、その人が影響して全体のタイムが遅くなりますよね。で、その遅い人が走っている間が、律速段階というわけです。
律速酵素は主に反応の最初にある酵素です。なので「ピルビン酸キナーゼは律速酵素ではなくただの調節酵素」と説明する先生もいます。
解糖系は各組織の「細胞質基質」で行われます。
核がなくてもできるので、赤血球でも解糖は行われます。
グルコースを体に取り入れる方法として一番メジャーなのは、「糖質を食べること」ですよね。
ただ、糖質を食べなくても体内でグルコースをつくることはできます。その方法は次の通り。
・肝臓のグリコーゲンが分解されてグルコースになる
・食べたたんぱく質や筋肉などの体たんぱく質が分解されて「糖原性アミノ酸」となったものが糖新生によりグルコースに変換される
・乳酸がコリ回路で糖新生によりグルコースに変換される
このような感じで、グルコースは蓄えたものを分解して使ったり、別のものからつくったりすることができます。
まとめ
1,3-ビスホスホグリセリンが生まれる時に作られたNADHは、乳酸が作られる時に水素を奪われます。
そして水素が奪われてフリーになったNAD+は、また1,3-ビスホスホグリセリンが生まれる時に水素をゲットしてNADHになります。
解糖系の登場キャラと省略名、化学構造式、分子式をまとめてみました😊
具体的にどんな分子がどう動いているのかわかりますね!
ここまで一度も登場しなかった「エノールピルビン酸」がいきなり登場していますね。これは、ホスホエノールピルビン酸からピルビン酸に変化する時にこっそり中間体として登場します。
変化には酵素が使われず、ただ水素が移動するだけなので重要視されておらず、ほとんどの参考書から除外されています。
お疲れさまでした!これで解糖系の説明は終わりになります。
更なる高みを目指す方は、ネットで検索するよりも参考書を購入することをオススメします。
愛読書
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関連記事はコチラ
➜ サイトのもくじ【ATP関連】
簡単に言うと何なの?
どんなことが起こっているの?可愛いイラストを使って誰よりもわかりやすく説明します!
🔶解糖系とは?
テキストの図
【初級】高校生物より
【中級】生化学より
このサイトで説明すると、解糖系はこんな感じになります↓😄
キャラクターは筆者が物質をイメージして創作したものなので、実際の形とは大きく異なりますが、絵があった方が理解しやすいので、このような形で説明して行きますね。
「初級編」は、高校の生物の授業レベルです。
「中級編」は、高校生物の内容よりも詳しい内容と、反応に使われる酵素などを紹介していきます。専門学生や大学生向けのレベルです。
もくじ
⭐初級編
解糖系とは?
解糖系はなぜ起こる?
第一段階(準備期)
第二段階(報酬期)
まとめ
解糖系が行われる場所
反応式
解糖系と解糖の違いは?
クイズ
⭐中級編
第一段階(準備期)
第二段階(報酬期)
どんな時にピルビン酸が乳酸になるの?
可逆反応・不可逆反応
律速酵素は?
グルコースはどこから来るの?
中級編まとめ
省略名、化学構造式、分子式まとめ
⭐初級編
解糖系とは?
解糖系はなぜ起こる?
第一段階(準備期)
第二段階(報酬期)
まとめ
解糖系が行われる場所
反応式
解糖系と解糖の違いは?
クイズ
⭐中級編
第一段階(準備期)
第二段階(報酬期)
どんな時にピルビン酸が乳酸になるの?
可逆反応・不可逆反応
律速酵素は?
グルコースはどこから来るの?
中級編まとめ
省略名、化学構造式、分子式まとめ
まとめ画像だけ見たい場合はコチラ↓
⭐初級編
解糖系とは?
解糖系とは、簡単にいえば「体の中でグルコースを分解してエネルギーの素を作るしくみのこと」です!!
よく考えてみたら字の通りなんですよね。
「解」「糖」ですもんね。
解糖系はなぜ起こる?
人が生きるためにはエネルギーが必要です。
そのエネルギーは、「ATP」という物質から生まれます。
そのATPはどこから来るのかと言うと、主に糖を分解することで生まれます。(糖以外のものからATPが作られることもあります)
つまり人は、生きるために糖を分解します。
糖は一度の分解ですぐにエネルギーを作ることはできません。
いくつもの酵素を使って、いろいろな形に変化しながら、少しずつエネルギーに近づいていきます。
その経路がまさに「解糖系」というわけです。
仮に、まったく糖を食べない生活をしていたとしても、体内のタンパク質や脂質が分解されて糖を作り、使われます。
解糖系は、「グルコース(ブドウ糖)」から始まり、いくつかの物質に変化し、ATPを作りながら「ピルビン酸」という物質になっていきます。
→【ATPとは?小学生でもわかるように解説!】
<準備期>
第一段階では「準備期」ということで、ATPを作るためにエネルギーを使いながらグルコースを変化させていきます。
準備期の変化は3回行われます。
グルコースがグルコース6-リン酸になる
解糖系が始まると、まず、元々存在するATPのリン酸がグルコースに移動します。
ATP(アデノシン三リン酸)は、3つあったリン酸を1つなくして2つになるので、ADP(アデノシン二リン酸)になります。
ATPがADPになる時にエネルギーが発生するので、エネルギーを使ってリン酸を付けている、ということになります。
グルコースにリン酸がくっつくと、グルコース6-リン酸になります。
「6-」というのは、グルコースの6位の炭素にリン酸がくっついている、という意味です。
そもそも〇位というのは、右上の炭素から時計回りに数えて〇番目という意味です。
六角形の化学構造をしているグルコースの最初の炭素は、真右にあるので真右から数えていきます。
すると左上の部分が6位になるので、そこがリン酸になります。
このサイトでは、リン酸を鈴に例えて説明しているので、グルコースの頭に鈴が付きました。
こんな感じで説明していきますね😎
ちなみにグルコースは別名「ブドウ糖」と呼ばれるので、ブドウの形のキャラクターにしました。
ADPがなぜお相撲さんなのかについてはコチラ→【ATP:おまけ】
フルクトース6-リン酸になる
グルコース6-リン酸がフルクトース6-リン酸に変化します。
イラストは、フルクトースのフの形にしました。
リン酸の位置は変わらずに物質が変化しています。
フルクトースは別名で果糖とも言います。つまり、フルクトースのフルは、フルーツのフルです。
フルクトース1,6-ビスリン酸になる
フルクトース6-リン酸は、ATPからリン酸をもらうので、ATPはADPになります。
フルクトース6-リン酸に、新しいリン酸がくっついて、リン酸が二つになりました。
リン酸がくっつくことをリン酸化反応といいます。(厳密には「リン酸の材料」が特定の場所について、その場所がリン酸と化すこと)
ちなみに「1,6」というのは、1位の炭素と6位の炭素にリン酸がついている、という意味です。
「ビス」という単語が名前についたので、頭に「ビス(ねじ)」を差したイラストにしてみました😊
本当の「ビス」は、ラテン語で「再び」という意味です。つまり「またリン酸がくっついた」という意味の「ビス」です。
<報酬期>
ここからはATPやNADH(ATPの素になるもの)を作りながら変化していきます。ATPが作られれば、人が動くためのエネルギーになるわけですから、得になります。
なので、「報酬期」と呼ばれています。
グリセルアルデヒド3-リン酸になる
ここで真っ二つにわかれます。
炭素が6つある分子が真っ二つにわかれるので、それぞれ炭素が3つずつの分子が2つできます。
教科書の図の
↑この「C6」は「炭素(C)が6個」、「C3、2」というのは、「炭素(C)が3個が2セット」という意味です。
グリセルアルデヒドのグリは、グリセリンのグリです。
グリセリン(別名:グリセロール)はご存知ですか?
一番身近なグリセリンと言えば、保湿剤として添加されるものかもしれません。リップクリームをはじめとする様々なお化粧品などに使われています。
ちなみにキャラクターは「グリズリー」がモデルです。
グリズリーにしてはちょっと情けないクマさんかもしれないですね😆
ちなみに炭素が3つになってしまったので、化学構造が環状ではなくなります。
炭素の数え方は上から①、②、③という感じです。
1,3ビスホスホグリセリン酸になる
前の段階で分子が二つに分かれたので、この先も分かれた状態でそれぞれ進んでいきます。
ここでは、リン酸がグリセルアルデヒド3-リン酸にくっつくことにより、水素(H)が外れてNAD+にくっつくため、NADHが生成されます。
水素が外れることを脱水素といいます。水素を外す酵素のことを「脱水素酵素」といいます。
NADHは補酵素(酵素を補助する物)であり、「電子伝達系」でATPを作り出すものです。
「ビス」がついたので、頭にビスを差しました。
「ホスホ」がついたので、物干し竿にぶら下げました。
3-ホスホグリセリン酸になる
1,3-ビスホスホグリセリン酸の1位のリン酸がはずれてADPにくっつきATPが生まれます。
リン酸が外れることを脱リン酸化反応といいます。
ホスホエノールピルビン酸になる
ホスホエノールピルビン酸という名前なので、瓶っぽい形にしました。この時水が生成されます。まだ物干し竿に干されたままです。
ピルビン酸になる
解糖系のラストです。
ホスホエノールピルビン酸についているリン酸が外れると、その後ピルビン酸になります。
外れたリン酸がADPにくっつくことにより、ATPが生まれます。
この後、ピルビン酸はクエン酸回路へ入っていきます。
まとめ
最初はグルコース、次にフルクトース、その次にグリセリン、そしてピルビンの付く名前のものになることから、「グルコース期」「フルクトース期」「グリ期」「ビン期」と名付けました。こうやって分けた方が、覚えやすいので♪
解糖系は人や動物の体内だけでなく、食品中でも起こります。(例えばアルコールが作られる時など)
解糖系が行われる場所は?
解糖系は細胞内の細胞質基質というところで行われます。
細胞質基質は細胞の中の器官を含まない液状の部分です。粒入りのミカンゼリーで例えると、ゼリーの部分です。
ちなみに細胞壁と核以外の部分をまとめて細胞質といいます。
教科書によっては、「解糖系は細胞質で起こる」と記述されている場合もあります。
解糖系の反応式
グルコース+2個のADP+2個のリン酸+2個のNAD+
→2個のピルビン酸+2個のATP+2個のNADH+2個の水素+2個の水
C6H12O6+2ADP+2H3PO4+2NAD+
→2C3H4O3+2ATP+2NADH+2H++2H2O
「解糖」と「解糖系」の違いは?
ほぼ同じ意味です。例えればこのような違いです。
解糖は、糖を分解すること。解糖系は、糖を分解する時に起こっている変化のこと。
ちなみに「解糖系は解糖に関わる全ての反応」と説明する人もいますが、ある意味間違いでもないです。それぞれの意味で使われます。
ただ、高校の教科書などで一般的に使われる「解糖系」は、「糖を分解する時に起こっている変化」の方です。
確認クイズ!
試験で問われやすいポイントをチェック!
・解糖系はグルコースから始まって、最後は何になる?→答え
・途中で分子が3つに分裂する。〇か×か?→答え
・反応が行われている場所は?→答え
・NADHは生成される数は?→答え
・ATPが使われてADPになるのは、何回?→答え
・報酬期ではATPをいくつ作っている?→答え
以外と簡単だったでしょう(^▽^)
どんなことが起こっているのか理解すれば、覚えやすくなりますよ♪
臨(りん)、兵(びょう)、闘(とう)、者(しゃ)、皆(かい)、陣(じん)、烈(れつ)、在(ざい)、解、糖、系、悪霊退散!
お疲れ様でした!この先は中級編になります♪
【amazon】わずか2カ月で定期テストを200点アップさせる方法!!
⭐中級編
ここからは酵素たちが登場します!
<準備期>
ATPを使いながら進みます。グルコースがグルコース6-リン酸になる
酵素:ヘキソキナーゼ
グルコースがグルコース6-リン酸に変わる時は、「ヘキソキナーゼ」という酵素が使われます。
「ヘキソ」は「ヘキソース(六炭糖)」のこと。「キナーゼ」は「リン酸を移動する酵素」という意味があります。
最初の酵素はヘソを出しながらリン酸を外す、というようなイメージで覚えます。
ここに登場する酵素たちは格闘技を行うキャラ達に統一することにしました😊
「キナーゼ」が付く酵素は空手家です。
フルクトース6-リン酸になる
酵素:グルコースリン酸イソメラーゼ
グルコースリン酸イソメラーゼは「グルコースフォスフェートイソメラーゼ」とも呼ばれます。フォスフェートはリン酸のことなので、英語か日本語かの違いです。
「イソメラーゼ」は、「異性化する酵素」のことです。つまり、使われる材料はそのままで、形だけを変える酵素、ということです。
グルコースリン酸に見初めて抱き着いたらフルクトースになった!的に覚えます。
「ラーゼ」が付く酵素は、レスリング選手にしました。
フルクトース1,6-ビスリン酸になる
酵素:ホスホフルクトキナーゼ
フルクトースにリン酸をつける酵素です。
また「キナーゼ(空手家)」が出てきましたね。
「ホスホ」はリン酸のことです。名前の通り、リン酸をフルクトースにくっつけています。
<報酬期>
グリセルアルデヒド3-リン酸とジヒドロキシアセトンリン酸になる
酵素:アルドラーゼ、トリオ―スリン酸イソメラーゼここでアルドラーゼによって真っ二つにわかれます。
片方はグリセルアルデヒド3-リン酸になり、もう片方はジヒドロキシアセトンリン酸になります。(ジヒドロキシアセトンリン酸は「初心者編」では省略されていましたね。)
ジヒドロキシアセトンリン酸はすぐに「トリオ―スリン酸イソメラーゼ」によってグリセルアルデヒド3-リン酸になるため、グリセルアルデヒド3-リン酸が2つになります。
ここで炭素が6つの物質から、炭素が3つの物質2セットに変わります。
1,3ビスホスホグリセリン酸になる
酵素:グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ酵素の名前長いですよね。ここでの酵素のキャラは女子プロレス選手にしましたが、こんな名前の選手がいたらカッコいいです。
「デヒドロゲナーゼ」は、「脱水素酵素」という意味です。つまりグリセルアルデヒド3-リン酸の水素をもらう酵素、ということです。
ここでは、水素が二つ移動します。
3-ホスホグリセリン酸になる
酵素:ホスホグリセリン酸キナーゼ
また「キナーゼ(空手家)」が出てきましたね。
3-ホスホグリにするーぜと覚えます。
2-ホスホグリセリン酸になる
酵素:ホスホグリセリン酸ムターゼ2-ホスホグリセリン酸は、よくカットされます。特に生成物もないし、ただリン酸が移動するだけなので。
「ムターゼ」は、「同一分子内の官能基を別の場所に移動する酵素」という意味です。
ムターゼ担当は、ムエタイ選手にしました。
ホスホエノールピルビン酸になる
酵素:エノラーゼ「ラーゼ」なのでレスリング選手さんです。
エノラーゼは、2-ホスホグリセリン酸に働きかけ、水を出します。その時ホスホエノールピルビン酸が誕生します。
「エノール」は、アルコールの一種です。
ピルビン酸になる
酵素:ピルビン酸キナーゼ空手家のピルビン酸キナーゼさんにリン酸を蹴ってもらいました。リン酸が外れるとピルビン酸になります。
●「キナーゼ」が働く時、ATPが関わっている法則
・ヘキソキナーゼ→ADP生成・ホスホフルクトキナーゼ→ADP生成
・ホスホグリセリン酸キナーゼ→ATP生成
・ピルビン酸キナーゼ→ATP生成
4つの「キナーゼ」が付く酵素が関わっている場所には必ずADP・ATPが関係しています。
乳酸
酵素:乳酸脱水素酵素(LD)
乳酸脱水素酵素は、英名で「Lactate Dehydrogenase(ラクテイトデヒドロゲナーゼ)」というので、他のデヒドロゲナーゼと同じく女子プロレスキャラにしました😉
通常のコースでは、ピルビン酸になった後は乳酸にならず、「クエン酸回路」へ入っていきます。
しかし、ある条件下では、ピルビン酸はクエン酸回路へは入らずに乳酸に変化することがあります。
●どんな時にピルビン酸が乳酸になるの?
筋トレや100m走など、息の切れるような運動をしたときにピルビン酸から変化します。
つまり、無酸素状態で乳酸に変化する、ということです。
解糖系はここで終わりになります。
可逆反応・不可逆反応
解糖系は基本的には可逆反応です。
つまり、解糖系の中で変化する物質のほとんどは、直前の形態に戻ることができる、ということです。
ですが、前の形態に戻ることができないポジションが3つあります。
準備期:一番最初のグルコースとグルコース6-リン酸の間
準備期:フルクトース6-リン酸とフルクトース1,6-ビスリン酸の間
報酬期:最後、ホスホエノールピルビン酸とピルビン酸の間
この3つの場所だけは、前の形態に戻ることができません。
不可逆反応が起こる原因は、その場所にある酵素(ヘキソキナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、ピルビン酸キナーゼ)が原因であると考えられています。
もう一人キナーゼがいるけど…
不可逆反応を示す酵素は3つとも「キナーゼ」が付く酵素達でしたが、もう一人「キナーゼ」が付く酵素がいましたよね。
そうです、ホスホグリセリン酸キナーゼです。彼はATPのリン酸を外して1,3-ビスホスホグリセリン酸に渡すことができるので、ここでは可逆反応を示します。
解糖系の律速酵素は?
解糖系の律速酵素はヘキソキナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、(ピルビン酸キナーゼ)です。不可逆反応を示した三人ですね。
律速酵素とは、代謝の中で反応が最も遅い酵素、という意味です。
走る速さが人それぞれであるように、酵素によっても反応が始まってから完了するまでの速度が違います。
律速酵素による反応が行われている段階のことを「律速段階」と言います。
律速酵素の反応の速さにより、代謝の速度が決まります。運動会のリレーと同じです。リレー選手の中に足の遅い人が混ざっていたら、その人が影響して全体のタイムが遅くなりますよね。で、その遅い人が走っている間が、律速段階というわけです。
律速酵素は主に反応の最初にある酵素です。なので「ピルビン酸キナーゼは律速酵素ではなくただの調節酵素」と説明する先生もいます。
赤血球でも解糖は起きる?
はい。解糖系は各組織の「細胞質基質」で行われます。
核がなくてもできるので、赤血球でも解糖は行われます。
グルコースはどこから来るの?
グルコースを体に取り入れる方法として一番メジャーなのは、「糖質を食べること」ですよね。
ただ、糖質を食べなくても体内でグルコースをつくることはできます。その方法は次の通り。
・肝臓のグリコーゲンが分解されてグルコースになる
・食べたたんぱく質や筋肉などの体たんぱく質が分解されて「糖原性アミノ酸」となったものが糖新生によりグルコースに変換される
・乳酸がコリ回路で糖新生によりグルコースに変換される
このような感じで、グルコースは蓄えたものを分解して使ったり、別のものからつくったりすることができます。
まとめ
再利用されるNAD+
1,3-ビスホスホグリセリンが生まれる時に作られたNADHは、乳酸が作られる時に水素を奪われます。
そして水素が奪われてフリーになったNAD+は、また1,3-ビスホスホグリセリンが生まれる時に水素をゲットしてNADHになります。
省略名、化学構造式、分子式まとめ
解糖系の登場キャラと省略名、化学構造式、分子式をまとめてみました😊
具体的にどんな分子がどう動いているのかわかりますね!
ここまで一度も登場しなかった「エノールピルビン酸」がいきなり登場していますね。これは、ホスホエノールピルビン酸からピルビン酸に変化する時にこっそり中間体として登場します。
変化には酵素が使われず、ただ水素が移動するだけなので重要視されておらず、ほとんどの参考書から除外されています。
お疲れさまでした!これで解糖系の説明は終わりになります。
更なる高みを目指す方は、ネットで検索するよりも参考書を購入することをオススメします。
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