【キャラ化】アミノ基転移反応・酸化的脱アミノ反応をわかりやすく説明!
アミノ酸の代謝で出てくる「アミノ基転移反応」と「酸化的脱アミノ反応」という言葉。
いったい何がどうなるの?
さっそく見て行きましょう!
アミノ基転移反応
アミノ酸のアミノ基(NH2)が、α-ケト酸に渡されること(アミノ基転移)により、今度は別のアミノ酸や、α-ケト酸が生まれる反応です。
アミノ基はメイクのようなものと考えるとわかりやすくなります。
アミノ酸から外れたアミノ基をα-ケト酸にくっつけると、別のアミノ酸になります。
アミノ基を失ったアミノ酸は、別のα-ケト酸になります。
「2-オキソ酸」とも呼ばれます。
アミノ基の受け渡しには、ASTやALTなどの酵素が使われます。
健康診断の血液検査の結果にAST、ALTがありますよね。
この数値により、肝臓の調子をみることができます。
肝臓の細胞が破壊されると、血中にAST・ALTが放出されるため、数値が高くなります。
和名:アスパラギン酸アミノ基転移酵素 (アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)
「エーエスティー」と読む先生もいますが、「アスト」と読む先生もいます。
名前の通り、アスパラギン酸のアミノ基を転移させる酵素です。
和名:アラニンアミノ基転移酵素(アラニンアミノトランスフェラーゼ)
「エーエルティー」と読む先生もいますが、「アルト」と読む先生もいます。
名前の通り、アラニンのアミノ基を転移させる酵素です。
ASTがはたらくことにより、アスパラギン酸のアミノ基が外れます。
アミノ基が外れたアスパラギン酸は、α-ケト酸のオキサロ酢酸になります。
一方でアスパラギン酸から外れたアミノ基は、α-ケトグルタル酸とくっつき、グルタミン酸になります。
ALTがはたらくことにより、アラニンのアミノ基が外れます。
アミノ基が外れたアラニンは、α-ケト酸のピルビン酸になります。
一方でアラニンから外れたアミノ基は、α-ケトグルタル酸とくっつき、グルタミン酸になります。
このように、アミノ基転移反応が起こると、アミノ酸のほとんどが最終的にグルタミン酸になります。
和名:アスパラギン酸アミノ基転移酵素
英名:Aspartate Aminotransferase (アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)
「Aspartate=アスパラギン酸の」「Amino=アミノ基を」「transferase=転移させる酵素」
つまり、ASTのASは、アスパラギン酸のASです。
別名はGOT(Glutamic Oxaloacetic Transaminase:グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)。
つまり、「Glutamic=グルタミン酸(と)」「Oxaloacetic=オキサロ酢酸(をつくる)」「Transaminase=アミノ基転移酵素」という意味です!
和名:アラニンアミノ基転移酵素
英名:Alanine Aminotransferase (アラニンアミノトランスフェラーゼ)
「Alanine=アラニンの」「amino=アミノ基を」「transferase=転移させる酵素」なので、
ALTのALは、アラニンのALです。
別名は、GPT(Glutamic Pyruvic Transaminase:グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)
つまり、「Glutamic=グルタミン酸(と)」「Pyruvic=ピルビン酸(をつくる)」「Transaminase=アミノ基転移酵素」という意味です!
アミノ基転移反応の例を理解していれば、無理して語呂合わせを暗記する必要はありません😊
AST、ALTの酵素反応は可逆的(元に戻るのが可能)であり、反応には補酵素型ビタミンB6(ピリドキサールリン酸)が必要です。
※補酵素とは?:酵素を補助するも役割のあるものこと。(酵素そのものではない)
ちなみにアミノ基転移反応は、AST、ALT以外の酵素でも行われます。それらは50種類以上あると言われており、基本的に可逆反応を示します。ただし、不可逆反応を示す例もあります。
ASTは主に肝臓、そして心筋や骨格筋、赤血球中に存在しています。つまりASTは肝臓、筋肉、赤血球で反応を起こします。
ALTは主に肝臓に存在しています。つまり、ALTは肝臓で反応を起こします。
・sASTは細胞質に存在します。別名はcAST、sGOT、GOT1
・mASTはミトコンドリアに存在します。別名はmGOT、GOT2
食事から摂ったタンパク質は消化されてアミノ酸になりますが、そのアミノ酸は主に
・体たんぱく質の合成
・核酸の合成
・生理活性物質の合成
に使われます。
しかし、タンパク質の摂りすぎなどにより余ったアミノ酸は、代謝して処理しなければなりません。
そんな時に使われるのが、アミノ基転移反応です。余っているアミノ酸のアミノ基を転移させることにより、「クエン酸回路」へ入って行けるようするのです。
クエン酸回路へ入った元アミノ酸(α-ケト酸)は、糖や脂肪に変換されたり、エネルギーとして使われたりします。タンパク質を摂りすぎたら太る、と言われる理由はこれです。
取り外されたアミノ基は、α-ケト酸とくっついてグルタミン酸になりましたよね。
このグルタミン酸はその後、「酸化的脱アミノ反応」で分解されて、また利用されることになります。
酸化的脱アミノ反応は、アミノ酸が酸化されることによってアミノ基が外れ、アンモニアとα-ケト酸が生じる反応です。
するとアミノ基と水素が外れます。
外れたアミノ基と水素がくっつくとアンモニアになります。
アミノ基・水素が外れて残ったものがα-ケトグルタル酸です。
最初に水が分解されたとき、水素が放たれます。
この水素はNAD+にくっつき、電子伝達系へ進むことになります。
「アミノ基転移反応」でも少し述べましたが、主にグルタミン酸を分解して、うまく利用するためです。
グルタミン酸が分解されると、α-ケトグルタル酸やNADHが生成され、それらはクエン酸回路や電子伝達系へ入っていき、エネルギーの素になります。
残ったアンモニアは、体にとって毒なので、その後「尿素回路」で捨てられることになります。
→尿素回路とは?
グルタミン酸+水+NAD+→α-ケトグルタル酸+アンモニア+NAD(P)H2
C5H9NO4+H2O+NAD+→C5H6O5+NH3+NAD(P)H2
酸化的脱アミノ反応は、全身の各組織のミトコンドリア内で行われます。
酸化酵素によって直接アミノ酸からアンモニアがつくられる反応も存在します。
この酵素は肝臓と腎臓にあるのですが、哺乳動物の体内ではあまり使われません。
1️⃣ アミノ基転移反応は、アミノ酸から外れたアミノ基が何にくっつく反応?→答え
2️⃣ ASTが作用するアミノ酸の名前は?→答え
3️⃣ ALTが作用するアミノ酸の名前は?→答え
4️⃣ アミノ基転移反応が起こった時に新しく生成されるアミノ酸は、主に何?→答え
5️⃣ ASTやALTの反応には補酵素型の何ていうビタミンが必要?→答え
6️⃣ アミノ基転移反応が行われる臓器は、主にどこ?→答え
7️⃣ 酸化的脱アミノ反応は、何が酸化して起こる反応?→答え
8️⃣ グルタミン酸が分解されてバラバラになった後、水素とアミノ基が結合したら何ができる?→答え
お疲れさまでした!これでアミノ基の代謝もバッチリですね!😄→答え
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いったい何がどうなるの?
さっそく見て行きましょう!
🔶アミノ基転移反応・酸化的脱アミノ反応
もくじ
・アミノ基転移反応
α-ケト酸とは?
AST、ALTとは?
アスパラギン酸のアミノ基転移反応
アラニンのアミノ基転移反応
ASTとALTの略字の意味をもう一度考えてみましょう!
ビタミンが必要!
反応が行われる場所は?
どんな時にこの反応が起こるの?
・酸化的脱アミノ反応
グルタミン酸の酸化的脱アミノ反応
どうしてこの反応が起こるの?
反応式
反応が行われる場所は?
・アミノ基転移反応
α-ケト酸とは?
AST、ALTとは?
アスパラギン酸のアミノ基転移反応
アラニンのアミノ基転移反応
ASTとALTの略字の意味をもう一度考えてみましょう!
ビタミンが必要!
反応が行われる場所は?
どんな時にこの反応が起こるの?
・酸化的脱アミノ反応
グルタミン酸の酸化的脱アミノ反応
どうしてこの反応が起こるの?
反応式
反応が行われる場所は?
アミノ基転移反応
アミノ酸のアミノ基(NH2)が、α-ケト酸に渡されること(アミノ基転移)により、今度は別のアミノ酸や、α-ケト酸が生まれる反応です。アミノ基はメイクのようなものと考えるとわかりやすくなります。
アミノ酸から外れたアミノ基をα-ケト酸にくっつけると、別のアミノ酸になります。
アミノ基を失ったアミノ酸は、別のα-ケト酸になります。
α-ケト酸とは?
ケトン基がα炭素にあるもののことです。「2-オキソ酸」とも呼ばれます。
アミノ基の受け渡しには、ASTやALTなどの酵素が使われます。
AST、ALTとは?
健康診断の血液検査の結果にAST、ALTがありますよね。
この数値により、肝臓の調子をみることができます。
肝臓の細胞が破壊されると、血中にAST・ALTが放出されるため、数値が高くなります。
AST
和名:アスパラギン酸アミノ基転移酵素 (アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)
「エーエスティー」と読む先生もいますが、「アスト」と読む先生もいます。
名前の通り、アスパラギン酸のアミノ基を転移させる酵素です。
ALT
和名:アラニンアミノ基転移酵素(アラニンアミノトランスフェラーゼ)
「エーエルティー」と読む先生もいますが、「アルト」と読む先生もいます。
名前の通り、アラニンのアミノ基を転移させる酵素です。
例
●アスパラギン酸のアミノ基転移反応
ASTがはたらくことにより、アスパラギン酸のアミノ基が外れます。
アミノ基が外れたアスパラギン酸は、α-ケト酸のオキサロ酢酸になります。
一方でアスパラギン酸から外れたアミノ基は、α-ケトグルタル酸とくっつき、グルタミン酸になります。
●アラニンのアミノ基転移反応
ALTがはたらくことにより、アラニンのアミノ基が外れます。
アミノ基が外れたアラニンは、α-ケト酸のピルビン酸になります。
一方でアラニンから外れたアミノ基は、α-ケトグルタル酸とくっつき、グルタミン酸になります。
このように、アミノ基転移反応が起こると、アミノ酸のほとんどが最終的にグルタミン酸になります。
アミノ基転移で生まれるアミノ酸はみんな私になるのよ!
っていうか、あたしがメイク(アミノ基)を落としたらピルビン酸になってしまうことがバレた!公開処刑だわ!
ASTとALTの略字の意味をもう一度考えてみましょう!
AST
和名:アスパラギン酸アミノ基転移酵素
英名:Aspartate Aminotransferase (アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)
「Aspartate=アスパラギン酸の」「Amino=アミノ基を」「transferase=転移させる酵素」
つまり、ASTのASは、アスパラギン酸のASです。
別名はGOT(Glutamic Oxaloacetic Transaminase:グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)。
つまり、「Glutamic=グルタミン酸(と)」「Oxaloacetic=オキサロ酢酸(をつくる)」「Transaminase=アミノ基転移酵素」という意味です!
ALT
和名:アラニンアミノ基転移酵素
英名:Alanine Aminotransferase (アラニンアミノトランスフェラーゼ)
「Alanine=アラニンの」「amino=アミノ基を」「transferase=転移させる酵素」なので、
ALTのALは、アラニンのALです。
別名は、GPT(Glutamic Pyruvic Transaminase:グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)
つまり、「Glutamic=グルタミン酸(と)」「Pyruvic=ピルビン酸(をつくる)」「Transaminase=アミノ基転移酵素」という意味です!
アミノ基転移反応の例を理解していれば、無理して語呂合わせを暗記する必要はありません😊
ビタミンが必要!
AST、ALTの酵素反応は可逆的(元に戻るのが可能)であり、反応には補酵素型ビタミンB6(ピリドキサールリン酸)が必要です。
※補酵素とは?:酵素を補助するも役割のあるものこと。(酵素そのものではない)
ちなみにアミノ基転移反応は、AST、ALT以外の酵素でも行われます。それらは50種類以上あると言われており、基本的に可逆反応を示します。ただし、不可逆反応を示す例もあります。
反応が行われる場所は?
ASTは主に肝臓、そして心筋や骨格筋、赤血球中に存在しています。つまりASTは肝臓、筋肉、赤血球で反応を起こします。
ALTは主に肝臓に存在しています。つまり、ALTは肝臓で反応を起こします。
●ASTは実は二種類ある
ASTは「sAST」「mAST」の二種類があります。どちらも細胞の中で同じ働きをしますが、存在する場所が細胞内で異なります。・sASTは細胞質に存在します。別名はcAST、sGOT、GOT1
・mASTはミトコンドリアに存在します。別名はmGOT、GOT2
なんのためにこの反応が起こるの?
食事から摂ったタンパク質は消化されてアミノ酸になりますが、そのアミノ酸は主に
・体たんぱく質の合成
・核酸の合成
・生理活性物質の合成
に使われます。
しかし、タンパク質の摂りすぎなどにより余ったアミノ酸は、代謝して処理しなければなりません。
そんな時に使われるのが、アミノ基転移反応です。余っているアミノ酸のアミノ基を転移させることにより、「クエン酸回路」へ入って行けるようするのです。
クエン酸回路へ入った元アミノ酸(α-ケト酸)は、糖や脂肪に変換されたり、エネルギーとして使われたりします。タンパク質を摂りすぎたら太る、と言われる理由はこれです。
取り外されたアミノ基は、α-ケト酸とくっついてグルタミン酸になりましたよね。
このグルタミン酸はその後、「酸化的脱アミノ反応」で分解されて、また利用されることになります。
酸化的脱アミノ反応とは?
酸化的脱アミノ反応は、アミノ酸が酸化されることによってアミノ基が外れ、アンモニアとα-ケト酸が生じる反応です。
例
●グルタミン酸の酸化的脱アミノ反応
まず、「グルタミン酸脱水素酵素」により、グルタミン酸が酸化します。するとアミノ基と水素が外れます。
外れたアミノ基と水素がくっつくとアンモニアになります。
アミノ基・水素が外れて残ったものがα-ケトグルタル酸です。
最初に水が分解されたとき、水素が放たれます。
この水素はNAD+にくっつき、電子伝達系へ進むことになります。
どうしてこの反応が起こるの?
「アミノ基転移反応」でも少し述べましたが、主にグルタミン酸を分解して、うまく利用するためです。
グルタミン酸が分解されると、α-ケトグルタル酸やNADHが生成され、それらはクエン酸回路や電子伝達系へ入っていき、エネルギーの素になります。
残ったアンモニアは、体にとって毒なので、その後「尿素回路」で捨てられることになります。
→尿素回路とは?
反応式
グルタミン酸+水+NAD+→α-ケトグルタル酸+アンモニア+NAD(P)H2
C5H9NO4+H2O+NAD+→C5H6O5+NH3+NAD(P)H2
反応が行われる場所は?
酸化的脱アミノ反応は、全身の各組織のミトコンドリア内で行われます。
アミノ酸酸化酵素による脱アミノ反応
酸化酵素によって直接アミノ酸からアンモニアがつくられる反応も存在します。
この酵素は肝臓と腎臓にあるのですが、哺乳動物の体内ではあまり使われません。
確認クイズ!
1️⃣ アミノ基転移反応は、アミノ酸から外れたアミノ基が何にくっつく反応?→答え
2️⃣ ASTが作用するアミノ酸の名前は?→答え
3️⃣ ALTが作用するアミノ酸の名前は?→答え
4️⃣ アミノ基転移反応が起こった時に新しく生成されるアミノ酸は、主に何?→答え
5️⃣ ASTやALTの反応には補酵素型の何ていうビタミンが必要?→答え
6️⃣ アミノ基転移反応が行われる臓器は、主にどこ?→答え
7️⃣ 酸化的脱アミノ反応は、何が酸化して起こる反応?→答え
8️⃣ グルタミン酸が分解されてバラバラになった後、水素とアミノ基が結合したら何ができる?→答え
お疲れさまでした!これでアミノ基の代謝もバッチリですね!😄→答え
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