【キャラ化】尿素回路(オルニチン回路)をわかりやすく解説!
尿素回路って何?
どんなことが起こっているの?
タンパク質を食べると体の中でアンモニアが作られます。
アンモニアは毒性が強い物質なので、体から捨てる必要があります。しかし、そのままの形では捨てることができないので、別の形に変化させなければなりません。
アンモニアをいくつかの形に変化させた後、最終的には尿素を作り、それを尿の成分にして外へ出すことになります。
そんな時に使われるのが尿素回路です。
つまり尿素回路とは、アンモニアを体外へ排出するためにいくつかの物質に変化させながら尿素を作り出す回路です。
まず、アンモニアと二酸化炭素がくっつくのですが、この時にATPが使われ、ATPのリン酸も一緒にくっつきます。
リン酸は独立しています。
コハク酸をアルビノっぽいデザインにしました。
アルギニンは尿素とオルニチンにわかれました。
本当は尿素は白い色をしているのですが、わかりやすくするために黄色にしました(^▽^)
※ちなみにおしっこの黄色い色はビリルビン(ウロビリノーゲン)やビタミンの色です。
そして尿素回路をループします。
・1分子のアンモニアから1分子の尿素を生成するには、1分子の二酸化炭素と3分子のATPが必要です。
・尿素に含まれている2つの窒素は、アンモニアとアスパラギン酸から供給されています。
タンパク質を食べると、分解されてアミノ酸まで小さくなります。
アミノ酸は基本的には再度タンパク質に合成されて体の一部になりますが、一方で体の一部にならなかったアミノ酸は別の形に変えられ代謝されることになります。
アミノ酸にはアミノ基がついています。アミノ基の化学式は「NH2」です。
一方でアンモニアの化学式は「NH3」です。
この二つの違いは水素(H)の数ですね。
つまり、「アミノ酸がバラバラになってアミノ基が飛び出した時に、そこに水素がくっつくとアンモニアになる」ということです。
アミノ酸が代謝される時は、「アミノ基転移反応」や「酸化的脱アミノ反応」という反応が段階的に起こります。
アミノ基転移反応
酵素のはたらきにより、アミノ酸のアミノ基がα-ケト酸に渡されること(=アミノ基転移)により、別のアミノ酸になったり、別のα-ケト酸が生まれる反応のことを言います。
アミノ基転移反応により生まれ変わったアミノ酸は、酵素により酸化的にアミノ基が外されます。するとアンモニアが生じ、それと一緒にα-ケト酸が生じます。
詳しくは↓
アミノ基転移反応と酸化的脱アミノ反応によってアンモニアが生まれました。
肝臓でアンモニアが生まれれば、そのまま尿素回路へ入っていくことができるのですが、肝臓以外の細胞でつくられたアミノ酸は肝臓へ行かなければなりません。
ただ、そのままの形で血液中に入ってしまうと神経細胞などに害を及ぼすので別の形に変化させる必要があります。
①まずアンモニアとα-ケトグルタル酸がくっつきます。すると、グルタミン酸が生じます。
②更に、このグルタミン酸と他のアンモニアがくっつくきます。
③するとグルタミンが生じます。
このようにして一旦無害な形に変えてから血液を返して肝臓に輸送します。
グルタミンの形で流れて来た物質は、肝臓に入るなりグルタミナーゼという酵素によって分解され元の体に戻ります。
グルタミン酸はアンモニアに取り込まれますが、アンモニアは取り込まれず、尿素回路が始まり尿素に変えられていきます。
アミノ酸がバラバラになって生じる物質はアンモニア以外にもあります。
「糖原性アミノ酸」から生じるα-ケト酸は糖になり、「ケト原生アミノ酸」から生じるα-ケト酸はケトン体や脂肪酸の合成に利用されます。
・糖原性アミノ酸…アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、アスパラギン、システイン、グルタミン酸、グルタミン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、メチオニン、プロリン、セリン、トレオニン、バリン
・ケト原生アミノ酸…ロイシン、リシン
・両方の特性を持っているアミノ酸…イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン
アミノ酸に脱炭酸酵素が働くことによってアミノ酸から二酸化炭素が抜け、第一アミンを生成する場合もあります
生成するアミンは強い生理活性をもつものが多く、「生理活性アミン」と呼ばれることもあります。
(例)
・ヒスチジンにヒスチジン脱炭酸酵素が作用して二酸化炭素が抜け、ヒスタミンが生じる。
・トリプトファンからできる5-ヒドロキシトリプトファンに、芳香族アミノ酸脱炭酸酵素が作用して二酸化炭素が抜け、セロトニンが生まれる。
・グルタミン酸にグルタミン酸脱炭酸酵素が働いて二酸化炭素が抜け、γアミノ酸(GABA)が生まれる。
アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンもこのようにしてアミノ酸の脱炭酸によって生成されます。
よく尿素配合のハンドクリームなどを見かけますよね。
なぜ保湿クリームに尿素を入れるのかというと、ズバリ、保湿性があるからです!
こういった商品は、何かのおしっこから尿素を抽出しているわけではなく、人工的につくっています。
尿素の作り方は、体内で起こっていることと似ています。アンモニアに二酸化炭素を高温高圧反応させてつくっています。
くれぐれも変なことは考えないようにしましょう!(笑)
尿素はアミノ酸の代謝物なので、たんぱく質が多く含まれるお肉などをたくさん食べると、おしっこからたくさん出てきます。
尿酸は核酸(プリン体)の代謝物なので、核が多く含まれる魚卵などをたくさん食べると、おしっこからたくさん出てきます。この尿酸が出てこずに血管に詰まると、痛風になります。
ただし、尿酸がアンモニアに変化してそれが尿素になって出てくることもあります。
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どんなことが起こっているの?
🔶尿素回路
◆簡単な図(文字のみ)
◆キャラ化
もくじ
・尿素回路とは?
・物質の動き
まとめ
・そもそもなぜアンモニアが生まれるの?
・アミノ酸がバラバラになる工程
・そのままの姿では血管に入ることができない
・アンモニア以外のアミノ酸の代謝物について
・尿素クリームにはおしっこが入っている?
・尿素と尿酸の違い
・尿素回路とは?
・物質の動き
まとめ
・そもそもなぜアンモニアが生まれるの?
・アミノ酸がバラバラになる工程
・そのままの姿では血管に入ることができない
・アンモニア以外のアミノ酸の代謝物について
・尿素クリームにはおしっこが入っている?
・尿素と尿酸の違い
尿素回路とは?
タンパク質を食べると体の中でアンモニアが作られます。
アンモニアは毒性が強い物質なので、体から捨てる必要があります。しかし、そのままの形では捨てることができないので、別の形に変化させなければなりません。
アンモニアをいくつかの形に変化させた後、最終的には尿素を作り、それを尿の成分にして外へ出すことになります。
そんな時に使われるのが尿素回路です。
つまり尿素回路とは、アンモニアを体外へ排出するためにいくつかの物質に変化させながら尿素を作り出す回路です。
物質の動き
①アンモニアと二酸化炭素がくっつく
まず、アンモニアと二酸化炭素がくっつくのですが、この時にATPが使われ、ATPのリン酸も一緒にくっつきます。
②カルバモイルリン酸の誕生
オルニチンとくっつく
③シトルリンができる
リン酸は独立しています。
アスパラギン酸、2つのリン酸とくっつく(ATPが消費され、AMPになる)
④アルギニノコハク酸
コハク酸をアルビノっぽいデザインにしました。
⑤アルギニンとフマル酸ができる
アルギニンと水がくっつく
※フマル酸はクエン酸回路へ入っていきます。
※フマル酸はクエン酸回路へ入っていきます。
⑥尿素とオルニチンにわかれる
アルギニンは尿素とオルニチンにわかれました。
本当は尿素は白い色をしているのですが、わかりやすくするために黄色にしました(^▽^)
※ちなみにおしっこの黄色い色はビリルビン(ウロビリノーゲン)やビタミンの色です。
⑦-A.尿素は腎臓へ行き、尿として排泄される
⑦-B.オルニチンはミトコンドリアへ入り、また新たにやってきたカルバモイルリン酸とくっつき、シトルリンになる。
そして尿素回路をループします。
●尿素回路まとめ
・1分子のアンモニアから1分子の尿素を生成するには、1分子の二酸化炭素と3分子のATPが必要です。
・尿素に含まれている2つの窒素は、アンモニアとアスパラギン酸から供給されています。
実は腎臓にもグルタミナーゼはあるので、細胞から届いたグルタミンをアンモニアに分解することができます。腎臓でできたアンモニアはそのまま尿として出すことができるため、尿素に変えることはしません。つまり、腎臓では尿素回路はおこりません。
そもそもなぜアンモニアが生まれるの?
タンパク質を食べると、分解されてアミノ酸まで小さくなります。
アミノ酸は基本的には再度タンパク質に合成されて体の一部になりますが、一方で体の一部にならなかったアミノ酸は別の形に変えられ代謝されることになります。
アミノ酸にはアミノ基がついています。アミノ基の化学式は「NH2」です。
一方でアンモニアの化学式は「NH3」です。
この二つの違いは水素(H)の数ですね。
つまり、「アミノ酸がバラバラになってアミノ基が飛び出した時に、そこに水素がくっつくとアンモニアになる」ということです。
アミノ酸がバラバラになる工程
アミノ酸が代謝される時は、「アミノ基転移反応」や「酸化的脱アミノ反応」という反応が段階的に起こります。
アミノ基転移反応
酵素のはたらきにより、アミノ酸のアミノ基がα-ケト酸に渡されること(=アミノ基転移)により、別のアミノ酸になったり、別のα-ケト酸が生まれる反応のことを言います。
酸化的脱アミノ反応
アミノ基転移反応により生まれ変わったアミノ酸は、酵素により酸化的にアミノ基が外されます。するとアンモニアが生じ、それと一緒にα-ケト酸が生じます。
詳しくは↓
アンモニアは肝臓へ行かなければならないが、そのままの姿では血管に入ることができない
アミノ基転移反応と酸化的脱アミノ反応によってアンモニアが生まれました。
肝臓でアンモニアが生まれれば、そのまま尿素回路へ入っていくことができるのですが、肝臓以外の細胞でつくられたアミノ酸は肝臓へ行かなければなりません。
ただ、そのままの形で血液中に入ってしまうと神経細胞などに害を及ぼすので別の形に変化させる必要があります。
アンモニアが血管に入るまでの変化
①まずアンモニアとα-ケトグルタル酸がくっつきます。すると、グルタミン酸が生じます。
②更に、このグルタミン酸と他のアンモニアがくっつくきます。
③するとグルタミンが生じます。
このようにして一旦無害な形に変えてから血液を返して肝臓に輸送します。
また私に戻るんだったら、わざわざ酸化的脱アミノ反応でアンモニアをつくる必要なくない?
元々の目的はNADH2をつくって、電子伝達系でエネルギーに変えることなのだ。アンモニアは、わざわざつくっているわけではなく結果的にできてしまものなのだよ。
望まれずに生まれてきた俺様ってことよ!
血管から肝臓へ入る
グルタミンの形で流れて来た物質は、肝臓に入るなりグルタミナーゼという酵素によって分解され元の体に戻ります。
グルタミン酸はアンモニアに取り込まれますが、アンモニアは取り込まれず、尿素回路が始まり尿素に変えられていきます。
アンモニア以外のアミノ酸の代謝物について
アミノ酸がバラバラになって生じる物質はアンモニア以外にもあります。
α-ケト酸
「糖原性アミノ酸」から生じるα-ケト酸は糖になり、「ケト原生アミノ酸」から生じるα-ケト酸はケトン体や脂肪酸の合成に利用されます。
・糖原性アミノ酸…アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、アスパラギン、システイン、グルタミン酸、グルタミン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、メチオニン、プロリン、セリン、トレオニン、バリン
・ケト原生アミノ酸…ロイシン、リシン
・両方の特性を持っているアミノ酸…イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン
脱炭酸酵素によるホルモンや神経伝達物質の生成
アミノ酸に脱炭酸酵素が働くことによってアミノ酸から二酸化炭素が抜け、第一アミンを生成する場合もあります
生成するアミンは強い生理活性をもつものが多く、「生理活性アミン」と呼ばれることもあります。
(例)
・ヒスチジンにヒスチジン脱炭酸酵素が作用して二酸化炭素が抜け、ヒスタミンが生じる。
・トリプトファンからできる5-ヒドロキシトリプトファンに、芳香族アミノ酸脱炭酸酵素が作用して二酸化炭素が抜け、セロトニンが生まれる。
・グルタミン酸にグルタミン酸脱炭酸酵素が働いて二酸化炭素が抜け、γアミノ酸(GABA)が生まれる。
アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンもこのようにしてアミノ酸の脱炭酸によって生成されます。
尿素クリームにはおしっこが入っている?
よく尿素配合のハンドクリームなどを見かけますよね。
なぜ保湿クリームに尿素を入れるのかというと、ズバリ、保湿性があるからです!
こういった商品は、何かのおしっこから尿素を抽出しているわけではなく、人工的につくっています。
尿素の作り方は、体内で起こっていることと似ています。アンモニアに二酸化炭素を高温高圧反応させてつくっています。
くれぐれも変なことは考えないようにしましょう!(笑)
尿素と尿酸の違い
尿素はアミノ酸の代謝物なので、たんぱく質が多く含まれるお肉などをたくさん食べると、おしっこからたくさん出てきます。
尿酸は核酸(プリン体)の代謝物なので、核が多く含まれる魚卵などをたくさん食べると、おしっこからたくさん出てきます。この尿酸が出てこずに血管に詰まると、痛風になります。
ただし、尿酸がアンモニアに変化してそれが尿素になって出てくることもあります。
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