酸・アルカリ・塩基の違いをわかりやすく解説!
アルカリと塩基の違いって何?
そもそも酸性とアルカリ性って何が違うの?
🔸酸とは、水溶液の中で分離した時に「水素イオン(H+)」を生じる物質。このような性質をもつ物質を酸性と言う。
🔹アルカリとは、水溶液の中で分離した時に「水酸化物イオン(OH-)」を生じる物質。このような性質をもつ物質をアルカリ性と言う。
と学びます。
→なんで「イオン」が付くの?
「塩酸」は、強い酸性であることが有名ですよね。
塩酸とは、「塩化水素(HCl)」が水に溶けたものです。
つまり塩酸は、水の中でたくさんの水素イオン(H+)が生じているんです。
一方で、「水酸化ナトリウム(NaOH)」は強いアルカリ性です。
これを水に溶かして「水酸化ナトリウム水溶液」にすると、水の中でたくさんの水酸化物イオン(OH-)が生じます。
酸から出るものは水素イオン(H+)。
アルカリから出るものは水酸化物イオン(OH-)。
この二つを合わせたら何になりますか?
H+OH=H2O
水ができますね。
塩酸に、水酸化ナトリウム水溶液を混ぜます
すると、水の中でH+とOH-が結合し、水(H2O)ができます。
残ったものはNaCl、つまり塩化ナトリウムです。
フリーのH+もOH-もいなくなったので、これで中性になりました。
酸と塩基の違いは、実は提唱者によって定義が違ってきます。
覚えやすい方から行きますね。
🔸酸とは、水に溶けて「水素イオン(H+)」を生じる物質
🔹塩基とは、水に溶けて「水酸化物イオン(OH-)」を生じる物質
です。
これは中学理科と同じですね😄
つまり、中学で習うことはアレーニウスの定義です。
スウェーデンの学者さんで、1887年にこれを提唱しました。
この定義のポイントは、「水に溶けないと、酸でも塩基でもない!」ということです。
後にこの説は覆されます。
水に溶けない酸と塩基も発見されるのです。
ところで、高校に進学してから急に「アルカリ」が「塩基」になりましたよね。
この違いは名前だけだと思います?
違います。
🔸アルカリは、水に溶ける塩基です。
※「水に溶けた塩基」と説明する先生もいます
🔹塩基は、水に溶けるもの、水に溶けないものすべて含めています。
「水に溶けない酸と塩基の存在」を説明する人が出てきました。
彼らはこう説明します。
🔸酸とは、「水素イオン(H+)」を与えるもの
🔹塩基とは、「水素イオン(H+)」を受け取るもの
先のアレーニウス定義も、このブレンステッド・ローリーの定義も間違っているわけではないので、教科書では両方紹介されます。
アレーニウスの定義は、水に溶けるもの限定なので「狭義の酸と塩基」
ブレンステッド・ローリーの定義は、水に溶けないものも含めているので「広義の酸と塩基」として扱われます。
ちなみに一般的なのはアレーニウスの方です。
水はHを受け取ることも与えることもできるので、酸にも塩基にもなります。
ブレンステッド(デンマーク)とローリー(イギリス)は、たまたま提唱したタイミング(1923)が同じで内容も同じだったため、名前をまとめて呼ばれるようになりました。
🔸酸性
・塩基と打ち消しあう
・リトマス紙:青を赤に変える
・BTB溶液:黄色になる
・フェノールフタレイン溶液:無色のまま
・金属(マグネシウムリボンや亜鉛)を入れた時:シュワシュワと泡(水素H2)が発生する
・味:すっぱい
・代表:酢、レモン
🔹塩基性
・酸と打ち消しあう
・リトマス紙:赤を青に変える
・BTB溶液:青になる
・フェノールフタレイン溶液:赤になる
・金属を入れた時:なにも起こらない
・味:苦い
・代表:石鹸、重曹
・手に付けるとぬるぬるする
◆(ちなみに)中性
・リトマス紙:変わらない
・BTB溶液:緑になる
・フェノールフタレイン溶液:無色のまま
・金属を入れた時:なにも起こらない
・代表:水
ちなみにアルカリ電池って青いデザインのものが多くないですか?エボルタとか。
だから「リトマス紙やBTB溶液が青になるのはアルカリ性」と覚えやすいですよね。
ちなみに、酸性はSUNとかけて太陽っぽい色になると覚えます。なので、リトマス紙は赤に、BTB溶液は黄色になります。
(フェノールフタレイン溶液だけはちょっと例外。。)
梅干しって、リトマス紙をつけてみると、クエン酸があるので酸性を示すんですが、実は「アルカリ性食品」なんです。
そもそも「アルカリ性食品」というのは、その食品を燃やした時に残った灰がアルカリ性を呈する食品、
「酸性食品」とは、食品を燃やしたとき残った灰が酸性を呈する食品のことです。
梅干しを含む野菜や果物類は、燃やした後の灰がアルカリ性です。
肉や魚、卵、米などは、燃やした後の灰が酸性です。
食品成分表によると、梅干し(塩漬)の成分の上位3つがこの通りになります。
・水(全体の65.1%)
・炭水化物(全体の10.5%)
・ナトリウム(全体の8.7%)
水と炭水化物は、燃やしてもほとんど何も残りません。
ポイントはナトリウムです。
ナトリウムは燃やして灰にすると、アルカリ性を示します。
つまり、「梅干しはアルカリ性食品だから体にいいからたくさん食べよう!」と思って食べまくると、ナトリウムが過剰になり高血圧になります。
ちなみに他の野菜や果物はカリウムやカルシウムが多いためにアルカリ性を示します。
肉や魚にはたんぱく質が多く含まれています。
タンパク質は、リンやイオウを多く含んでおり、それらは灰になると酸性を示します。
体には、「恒常性」と言って体内のバランスを一定に保つ機能があります。
つまり、体をアルカリ性にしようと思って一生懸命アルカリ性食品ばかりとっても、思ったようにはなりません。
ただ、アルカリ性食品は野菜や果物といった、ビタミンやミネラルを多く含んだ食べものばかりなので、「酸性」「アルカリ性」とは関係なく、栄養バランスを整えるために摂る必要はあります。
→【pHと産み分けについて】
答えはNOです。
酸化は英語で「Oxidation」。つまり酸素がくっつくこと。(もしくは水素が外れること。)
酸性化は英語で「Acidification」。つまり酸性に傾くこと。
名前が似ていて紛らわしいですよね。
これも、昔は「酸と酸素は関係ある」と思われていたかららしいです。今となってはそれほど関係ないですけどね。
・アルカリ・塩基とは、水溶液中で水酸化物イオンを生じるもの
・アルカリ・塩基とは、水素イオンを受け取るもの
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➜ サイトのもくじ【化学】
そもそも酸性とアルカリ性って何が違うの?
🔶酸・アルカリ・塩基
Contents
・【中学理科】酸・アルカリの違い
例えば?
酸性の水溶液とアルカリ性の水溶液を混ぜたらどうなるの?
酸とアルカリが中和する仕組み
・【高校/化学基礎】アレーニウスの定義
アレーニウスって誰?
・アルカリと塩基の違い
・ブレンステッド・ローリーの酸・塩基の定義
水は酸?アルカリ?
ブレンステッド・ローリーって誰?
・酸性と塩基性の特徴
アルカリ電池との関係
・梅干しは「アルカリ性食品」
・「酸化」とは、酸性になること?
・まとめ
・【中学理科】酸・アルカリの違い
例えば?
酸性の水溶液とアルカリ性の水溶液を混ぜたらどうなるの?
酸とアルカリが中和する仕組み
・【高校/化学基礎】アレーニウスの定義
アレーニウスって誰?
・アルカリと塩基の違い
・ブレンステッド・ローリーの酸・塩基の定義
水は酸?アルカリ?
ブレンステッド・ローリーって誰?
・酸性と塩基性の特徴
アルカリ電池との関係
・梅干しは「アルカリ性食品」
・「酸化」とは、酸性になること?
・まとめ
【中学理科】酸・アルカリの違い
🔸酸とは、水溶液の中で分離した時に「水素イオン(H+)」を生じる物質。このような性質をもつ物質を酸性と言う。
🔹アルカリとは、水溶液の中で分離した時に「水酸化物イオン(OH-)」を生じる物質。このような性質をもつ物質をアルカリ性と言う。
と学びます。
→なんで「イオン」が付くの?
例えば?
「塩酸」は、強い酸性であることが有名ですよね。
塩酸とは、「塩化水素(HCl)」が水に溶けたものです。
つまり塩酸は、水の中でたくさんの水素イオン(H+)が生じているんです。
一方で、「水酸化ナトリウム(NaOH)」は強いアルカリ性です。
これを水に溶かして「水酸化ナトリウム水溶液」にすると、水の中でたくさんの水酸化物イオン(OH-)が生じます。
◆酸性の水溶液とアルカリ性の水溶液を混ぜたらどうなるの?
「中和」します。酸から出るものは水素イオン(H+)。
アルカリから出るものは水酸化物イオン(OH-)。
この二つを合わせたら何になりますか?
H+OH=H2O
水ができますね。
酸とアルカリが中和する仕組み
塩酸に、水酸化ナトリウム水溶液を混ぜます
すると、水の中でH+とOH-が結合し、水(H2O)ができます。
残ったものはNaCl、つまり塩化ナトリウムです。
フリーのH+もOH-もいなくなったので、これで中性になりました。
【高校/化学基礎】アレーニウスの定義
酸と塩基の違いは、実は提唱者によって定義が違ってきます。
覚えやすい方から行きますね。
🔸酸とは、水に溶けて「水素イオン(H+)」を生じる物質
🔹塩基とは、水に溶けて「水酸化物イオン(OH-)」を生じる物質
です。
これは中学理科と同じですね😄
つまり、中学で習うことはアレーニウスの定義です。
アレーニウスって誰?
スウェーデンの学者さんで、1887年にこれを提唱しました。
この定義のポイントは、「水に溶けないと、酸でも塩基でもない!」ということです。
後にこの説は覆されます。
水に溶けない酸と塩基も発見されるのです。
アルカリと塩基
ところで、高校に進学してから急に「アルカリ」が「塩基」になりましたよね。
この違いは名前だけだと思います?
違います。
違いは?
🔸アルカリは、水に溶ける塩基です。
※「水に溶けた塩基」と説明する先生もいます
🔹塩基は、水に溶けるもの、水に溶けないものすべて含めています。
ブレンステッド・ローリーの酸・塩基の定義
アレーニウスは「酸も塩基も水に溶ける」と説明しましたが、「水に溶けない酸と塩基の存在」を説明する人が出てきました。
彼らはこう説明します。
🔸酸とは、「水素イオン(H+)」を与えるもの
🔹塩基とは、「水素イオン(H+)」を受け取るもの
先のアレーニウス定義も、このブレンステッド・ローリーの定義も間違っているわけではないので、教科書では両方紹介されます。
アレーニウスの定義は、水に溶けるもの限定なので「狭義の酸と塩基」
ブレンステッド・ローリーの定義は、水に溶けないものも含めているので「広義の酸と塩基」として扱われます。
ちなみに一般的なのはアレーニウスの方です。
水は酸?アルカリ?
ブレンステッド・ローリーの定義だと、水はHを受け取ることも与えることもできるので、酸にも塩基にもなります。
ブレンステッド・ローリーって誰?
2人の学者さんの名前です。ブレンステッド(デンマーク)とローリー(イギリス)は、たまたま提唱したタイミング(1923)が同じで内容も同じだったため、名前をまとめて呼ばれるようになりました。
酸性と塩基性の特徴
🔸酸性
・塩基と打ち消しあう
・リトマス紙:青を赤に変える
・BTB溶液:黄色になる
・フェノールフタレイン溶液:無色のまま
・金属(マグネシウムリボンや亜鉛)を入れた時:シュワシュワと泡(水素H2)が発生する
・味:すっぱい
・代表:酢、レモン
🔹塩基性
・酸と打ち消しあう
・リトマス紙:赤を青に変える
・BTB溶液:青になる
・フェノールフタレイン溶液:赤になる
・金属を入れた時:なにも起こらない
・味:苦い
・代表:石鹸、重曹
・手に付けるとぬるぬるする
◆(ちなみに)中性
・リトマス紙:変わらない
・BTB溶液:緑になる
・フェノールフタレイン溶液:無色のまま
・金属を入れた時:なにも起こらない
・代表:水
アルカリ電池との関係
アルカリ電池は、中の電解液がアルカリ性だからそう名付けられたようです。ちなみにアルカリ電池って青いデザインのものが多くないですか?エボルタとか。
だから「リトマス紙やBTB溶液が青になるのはアルカリ性」と覚えやすいですよね。
ちなみに、酸性はSUNとかけて太陽っぽい色になると覚えます。なので、リトマス紙は赤に、BTB溶液は黄色になります。
(フェノールフタレイン溶液だけはちょっと例外。。)
梅干しは「アルカリ性食品」
梅干しって、リトマス紙をつけてみると、クエン酸があるので酸性を示すんですが、実は「アルカリ性食品」なんです。
そもそも「アルカリ性食品」というのは、その食品を燃やした時に残った灰がアルカリ性を呈する食品、
「酸性食品」とは、食品を燃やしたとき残った灰が酸性を呈する食品のことです。
梅干しを含む野菜や果物類は、燃やした後の灰がアルカリ性です。
肉や魚、卵、米などは、燃やした後の灰が酸性です。
なぜ梅干しの灰はアルカリ性?
梅干しの成分を考えてみましょう。食品成分表によると、梅干し(塩漬)の成分の上位3つがこの通りになります。
・水(全体の65.1%)
・炭水化物(全体の10.5%)
・ナトリウム(全体の8.7%)
水と炭水化物は、燃やしてもほとんど何も残りません。
ポイントはナトリウムです。
ナトリウムは燃やして灰にすると、アルカリ性を示します。
つまり、「梅干しはアルカリ性食品だから体にいいからたくさん食べよう!」と思って食べまくると、ナトリウムが過剰になり高血圧になります。
ちなみに他の野菜や果物はカリウムやカルシウムが多いためにアルカリ性を示します。
なぜ肉や魚は灰になったら酸性になる?
肉や魚にはたんぱく質が多く含まれています。
タンパク質は、リンやイオウを多く含んでおり、それらは灰になると酸性を示します。
体をアルカリ性に傾けるためにアルカリ性食品を食べても意味はない
体には、「恒常性」と言って体内のバランスを一定に保つ機能があります。
つまり、体をアルカリ性にしようと思って一生懸命アルカリ性食品ばかりとっても、思ったようにはなりません。
ただ、アルカリ性食品は野菜や果物といった、ビタミンやミネラルを多く含んだ食べものばかりなので、「酸性」「アルカリ性」とは関係なく、栄養バランスを整えるために摂る必要はあります。
→【pHと産み分けについて】
「酸化」とは、酸性になること?
答えはNOです。
酸化は英語で「Oxidation」。つまり酸素がくっつくこと。(もしくは水素が外れること。)
酸性化は英語で「Acidification」。つまり酸性に傾くこと。
名前が似ていて紛らわしいですよね。
これも、昔は「酸と酸素は関係ある」と思われていたかららしいです。今となってはそれほど関係ないですけどね。
まとめ
◆中学理科&アレーニウスの定義
・酸とは、水溶液中で水素イオンを生じるもの・アルカリ・塩基とは、水溶液中で水酸化物イオンを生じるもの
◆ブレンステッド・ローリーの定義
・酸とは水素イオンを与えるもの・アルカリ・塩基とは、水素イオンを受け取るもの
◆アルカリとは
・水にとける塩基のこと。関連記事はコチラ
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